mRNAインフルワクチン、不活化ワクチンに対する優越性を確認/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2025/12/16

 

 ヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(modRNA)インフルエンザワクチンは、対照ワクチンと比較して相対的有効性に関して統計学的な優越性を示し、A/H3N2株とA/H1N1株に対する免疫応答が顕著である一方、副反応の頻度は高いことが示された。米国・East-West Medical Research InstituteのDavid Fitz-Patrick氏らが、第III相無作為化試験「Pfizer C4781004試験」の結果を報告した。modRNAインフルエンザワクチンは、インフルエンザA型とB型のそれぞれ2つの株(A/H3N2、A/H1N1、B/Yamagata、B/Victoria)のヘマグルチニンをコードする4価のワクチンである。研究の成果は、NEJM誌2025年11月20日号で報告された。

3ヵ国1流行期で実施、承認済みの標準的な不活化4価インフルエンザワクチンと比較

 Pfizer C4781004試験は、2022~23年のインフルエンザ流行期に米国の242施設、南アフリカ共和国の5施設、フィリピンの1施設で実施した無作為化試験(Pfizerの助成を受けた)。

 年齢18~64歳の健康な成人を、modRNA群、または承認済みの標準的な不活化4価インフルエンザワクチンを接種する群(対照群)に、1対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは相対的有効性とし、modRNAワクチン接種後少なくとも14日の時点でインフルエンザ様症状があり検査でインフルエンザが確認された参加者の割合が、対照群よりも低いことと定義した。相対的有効性の非劣性(両側95%信頼区間[CI]の下限値が-10%ポイント以上)および優越性(同0%ポイント以上)を検証した。

 免疫原性は赤血球凝集抑制(HAI)試験で評価した。また、接種後7日以内の反応原性(副反応)、1ヵ月後までの有害事象、6ヵ月後までの重篤な有害事象の評価を行った。

相対的有効性34.5%、非劣性・優越性の基準満たす

 2022年10月24日~2023年1月30日に1万8,476例(平均年齢43歳、男性41.9%、白人73.6%)を登録し、9,225例をmodRNA群、9,251例を対照群に割り付けた。それぞれ9,191例および9,197例が実際にワクチンの接種を受け、全体の92.9%が6ヵ月間の追跡を完了した。

 接種後14日目以降にインフルエンザ様症状が発現し検査でインフルエンザが確認された参加者は、modRNA群で57例、対照群で87例であり、対照群と比較したmodRNA群の相対的有効性は34.5%(95%CI:7.4~53.9)であった。95%CIの下限値は、非劣性および優越性の双方の基準を満たした。

 インフルエンザ様症状の原因ウイルス株は、主にA/H3N2株とA/H1N1株であり、B型株が原因のものはごくわずかであった。HAI試験における抗体反応は、インフルエンザA型で非劣性が示されたが、B型では示されなかった。

安全性プロファイルは2群でほぼ同様

 安全性プロファイルは2つの群でほぼ同様であり、新たな安全性の懸念は確認されなかった。

 反応原性(副反応)のイベントは、modRNA群で報告が多かった(局所反応:70.1%vs.43.1%、全身性イベント:65.8%vs.48.7%)。これらは全般に軽度または中等度で一過性であり、重度のイベントに両群間で臨床的に意義のある差は認めなかった。最も頻度の高い局所反応は疼痛で、最も頻度の高い全身性イベントは倦怠感と頭痛であった。発熱(≦40.0°C)は、modRNA群で5.6%、対照群で1.7%に発現した。

 安全性データのカットオフ日(2023年9月29日)の時点で、ワクチン接種から4週間までの有害事象の報告は、modRNA群で6.7%、対照群で4.9%であった。ワクチン関連の有害事象は、modRNA群で3.3%、対照群で1.4%だった。

 重篤かつ生命を脅かす有害事象、重篤な有害事象、試験中止に至った有害事象の頻度は低く、両群で同程度であった。modRNA群の1例で、ワクチン関連の重篤な有害事象(Grade3の接種部位反応とGrade4のアナフィラキシー反応)がみられた。接種後6ヵ月までに、16例に致死的な有害事象が発生した(modRNA群7例、対照群9例)が、いずれもワクチン関連とは判断されなかった。接種後1週間以内の死亡例の報告はなかった。

 著者は、「modRNAワクチンプラットフォームが許容可能な安全性を備えた効果的なワクチンを迅速かつ大量に生産する能力は、COVID-19だけでなく、インフルエンザなどの季節性の呼吸器疾患の予防への応用においても重要である」「本試験で確認されたmodRNAワクチンによるインフルエンザの予防効果は、ヘマグルチニンのみをコードするように設計されたワクチンで達成されたが、modRNAワクチンは他のインフルエンザウイルス抗原を標的にできる可能性もある」「modRNAプラットフォームはインフルエンザワクチンの開発において有望であり、既存製品を上回る恩恵をもたらす可能性がある」としている。

(医学ライター 菅野 守)

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コメンテーター : 栗原 宏( くりはら ひろし ) 氏

霞ヶ浦医療センター 総合診療科