腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:158

切除不能悪性黒色腫の1次治療、relatlimab・ニボルマブ併用が有効/NEJM

 未治療の転移のあるまたは切除不能の悪性黒色腫患者の治療において、2つの免疫チェックポイント阻害薬relatlimab(抗リンパ球活性化遺伝子3[LAG-3]抗体)とニボルマブ(抗プログラム細胞死1[PD-1]抗体)の併用は、標準治療であるニボルマブ単剤と比較して、無増悪生存期間を有意に延長し、併用による新たな安全性への懸念は認められないことが、米国・テキサス大学MD AndersonがんセンターのHussein A. Tawbi氏らが実施した「RELATIVITY-047試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2022年1月6日号で報告された。

ホルモン薬避妊は子供の中枢神経系腫瘍リスクと関連?/JAMA

 ホルモン薬による避妊を行った母親の子供における中枢神経系の腫瘍のリスクは、ホルモン薬避妊法の経験のない母親の子供と比較して増加せず、ホルモン薬の種類ごとのリスクにも差はないことが、デンマーク・Cancer Society Research CenterのMarie Hargreave氏らの調査で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年1月4日号に掲載された。  研究グループは、デンマークにおける母親のホルモン薬避妊法の使用と子供の中枢神経系腫瘍の関連を評価する目的で、全国的なコホート研究を行った(Danish Cancer Research Foundationなどの助成を受けた)。

乳がん患者の抑うつ、適切な治療につなげるには?/JAMA

 地域の腫瘍科診療施設で治療を受けている乳がん患者において、実装科学(implementation science)に基づき日常診療で抑うつ状態のスクリーニングを行う個別化戦略は、抑うつスクリーニング指導のみの治療戦略と比較して、行動療法への紹介に結びつく患者の割合が高く、腫瘍内科の外来受診の頻度は低下することが、米国・カイザーパーマネンテ南カリフォルニア(KPSC)のErin E. Hahn氏らの調査で示された。研究の成果は、JAMA誌2022年1月4日号で報告された。  本研究は、KPSC(南カリフォルニアの450万人以上の会員に包括的な治療を提供する統合保健システム)に所属する6つの医療センターが参加した実践的なクラスター無作為化試験であり、2017年10月1日~2018年9月30日の期間に患者の登録が行われ、最終フォローアップ日は2019年3月31日であった(Regents of the University of Californiaなどの助成を受けた)。

再生不良性貧血に免疫抑制療法+エルトロンボパグが有効/NEJM

 未治療の重症再生不良性貧血患者において、エルトロンボパグと標準免疫抑制療法の併用は、血液学的奏効の得られる割合、速さ、大きさを改善し、さらなる毒性は認められなかった。フランス・パリ大学のRegis Peffault de Latour氏らが、未治療の重症再生不良性貧血患者を対象に、標準免疫抑制療法とエルトロンボパグの併用について検討した、研究者主導の無作為化非盲検第III相試験「RACE試験」の結果を報告した。重症再生不良性貧血患者を対象とした第I/II相試験において、エルトロンボパグは、ウマ抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+シクロスポリンを含む標準免疫抑制療法の有効性を改善することが示されていた。NEJM誌2022年1月6日号掲載の報告。

ペムブロリズマブの非小細胞肺がん術後アジュバント、無病生存率を改善/Merck

 Merck社は、2022年1月10日、EORTCおよびETOPとともに、第III相KEYNOTE-091(EORTC-1416-LCG / ETOP-8-15 – PEARLS)試験の結果を発表した。  独立データモニタリング委員会による中間分析では、主要要評価項目の1つであるステージIB~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)全集団のDFS(無病生存期間)について、ペムブロリズマブ治療群はプラセボ群と比較して、PD-L1発現を問わず、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示した。

転移のない前立腺がん、アビラテロン+エンザルタミドで無転移生存期間延長/Lancet

 転移のない高リスク前立腺がん男性の治療において、アンドロゲン除去療法(ADT)による3年間の標準治療にアビラテロン酢酸エステル(アビラテロン)+プレドニゾロンまたはアビラテロン+プレドニゾロン+エンザルタミドを併用すると、標準治療単独と比較して、全生存期間の代替指標とされる無転移生存期間が延長し、前立腺がん特異的生存期間や生化学的無再発生存期間も改善されることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGerhardt Attard氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2021年12月23日号で報告された。

コンセンサスベースとエビデンスベース診療ガイドラインの比較(解説:折笠秀樹氏)

診療ガイドラインの質に関する調査結果である。エビデンスベースの土俵で比較したら、エビデンスベースの診療ガイドライン(GL)のほうがコンセンサスベースGLよりも良かった、という当然の結果であった。循環器関係のACC/AHAガイドラインが12本(1,434推奨)、がん関係のASCOガイドラインが69本(1,094推奨)、合計2,528推奨を研究対象とした。各推奨について、著者の2人がペアとなり、次のことを調べた。コンセンサスベースGLかエビデンスベースGLかの別、用いたグレーディングシステム、推奨度(強・弱)、エビデンスの質(高・中・低)である。推奨度の付け方としては、GRADEシステムというのが有名である。日本の診療ガイドラインは、近年では、ほぼそれに準拠して作られているのではないかと思う。

肺がんマルチ遺伝子PCRパネルAmoyDx発売/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、複数の抗悪性腫瘍剤のコンパニオン診断薬「AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル」の日本国内での販売を2022 年1月11日に開始する。  同製品は、非小細胞肺がん(NSCLC)の5種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET)をカバーする、リアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。  EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異、MET exon14スキッピング変異を1回の測定で同時に検出し、10種の抗がん剤の適応判定の補助が可能。 保険点数は10,000点(5項目)。

早期乳がん術前化学療法、pCRは代替エンドポイントには役不足/BMJ

 病理学的完全奏効(pCR)は、無病生存期間(DFS)および全生存期間(OS)のいずれについても、臨床試験の代替エンドポイントとして不十分であることが、イタリア・European Institute of Oncology(IEO)のFabio Conforti氏らが実施した、早期乳がんを対象とする術前化学療法の無作為化臨床試験に関するシステマティックレビューおよびメタ解析で確認された。米国食品医薬品局(FDA)は、早期乳がんの術前化学療法を検証する無作為化臨床試験において、pCRをDFSおよびOSの代替エンドポイントとすることを承認している。しかし、先行のメタ解析(試験数に限界があった)で認められたpCRとDFSおよびOSとの間の強い相関関係は、患者レベルであり試験レベルではなく、pCRを代替エンドポイントとすることについては議論の的となっていた。著者は、「今回示された結果は、pCRを早期乳がん術前化学療法の主要エンドポイントとして規定すべきではないことを示すものである」とまとめている。BMJ誌2021年12月21日号掲載の報告。

男性乳がんの予後不良因子は?

 男性乳がんは稀な疾患であるものの、近年増加傾向がみられている。認知度の低さなどから進行期になってから診断されるケースが多く、生存に寄与する因子や適切な治療戦略については明確になっていない部分が多い。韓国・忠北大学校病院のSungmin Park氏らは、国民健康保険データベースを用いた男性乳がん患者の転帰に関する後ろ向き解析結果を、Journal of Breast Cancer誌オンライン版2021年12月24日号に報告した。  本研究では、韓国の健康保険データベースを使用して、該当の請求コードをもつ男性乳がん患者を特定、男性乳がんの発生率、生存転帰、およびその予後因子が評価された。最初の請求から1年以内の手術と放射線療法の種類を含む、医療記録と死亡記録がレビューされた。その他、経済状況(≧20パーセンタイル、<20パーセンタイル)、地域(都市部、地方)、チャールソン併存疾患指数(0、1、≧2)、およびBRCA1/2(乳がん遺伝子)テストの実施について情報が収集された。