腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

NSCLCの新たなドライバー遺伝子CLIP1-LTK発見

 国立がん研究センター東病院が中心に進める肺がんの遺伝子スクリーニングプロジェクト「LC-SCRUM-Asia」が、非小細胞肺がん(NSCLC)の新しいドライバー遺伝子「CLIP1-LTK融合遺伝子」を世界で初めて発見した。また、このドライバー遺伝子変異には、治療薬としてALK-TKIのロルラチニブが有効である可能性が示されている。  試験結果は、Nature誌2021年11月14日号に掲載され、第62回日本肺癌学会学術集会では、がん研究センター東病の松本慎吾氏により発表された。  NSCLCでは、ドライバー遺伝子が相次いで発見されるととも、それに対応する分子標的薬が登場することで治療成績が著しく向上している。  とはいえ、50〜60%のNSCLCではドライバー遺伝子が存在しない。そのため、新たなドライバー遺伝子の発見と治療薬の開発が求められている。  そのような中、CLIP1-LTK融合遺伝子は、新たなドライバー遺伝子を検索するためLC-SCRUM-Asiaが行った、既知のドライバー遺伝子陰性のNSCLCを対象に行った全RNAシークエンス検査により世界で初めて発見された。

CAR-T療法イエスカルタ、大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療に有効 /NEJM

 大細胞型B細胞リンパ腫の2次治療において、自家抗CD19キメラ抗原受容体(CAR)T細胞製品アキシカブタゲン シロルユーセル(axi-cel、商品名:イエスカルタ)は標準治療と比較して、無イベント生存期間および奏効割合を有意に改善し、Grade3以上の毒性作用の発現は予想された程度であることが、米国・H. Lee MoffittがんセンターのFrederick L. Locke氏らが実施した「ZUMA-7試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2021年12月11日号に掲載された。

抗HER3抗体薬物複合体HER3-DXd、EGFR変異陽性非小細胞肺がんでFDAブレークスルーセラピーに指定/第一三共

 第一三共は、2021年12月24日、パトリツマブ デルクステカン (U3-1402/HER3-DXd)が、米国食品 医薬品局(FDA)より、第3世代EGFR-TKIおよびプラチナ製剤併用療法の治療歴のあるEGFR遺伝子変異陽性で転移のある非小細胞肺がんを対象とした「ブレークスルーセラピー」指定を受けたと発表。  今回の指定は、2021年6月開催の米国臨床腫瘍学会(ASCO 2021)で発表された、EGFR遺伝子変異を有する転移または切除不能な非小細胞肺がんを対象とした第I相臨 床試験の結果に基づくものである。

HER2+進行乳がん2次治療、T-DXdが脳転移例にも良好な結果(DESTINY-Breast03)/SABCS2021

 HER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対する2次治療として、脳転移の有無にかかわらずトラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し高い有効性を示した。米国・カリフォルニア大学のSara A. Hurvitz氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS 2021)で第III相DESTINY-Breast03試験のサブグループ解析結果を発表した。  DESTINY-Breast03試験については、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で中間解析結果が発表され、主要評価項目のPFS中央値は、T-Dxd群NR(95%信頼区間[CI]:18.5~NE) vs.T-DM1群6.8ヵ月(95%CI:5.6~8.2)、ハザード比(HR):0.28(95%CI:0.22~0.37、p=7.8×10-22)でT-Dxd群の有意な延長が報告されている。

イサツキシマブ、再発難治多発性骨髄腫に対する3レジメンが追加承認/サノフィ

 2021年11月、サノフィは再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬である抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(商品名:サークリサ)における、カルフィルゾミブ・デキサメタゾン併用療法、単剤療法およびデキサメタゾン併用療法に関する承認事項一部変更を発表した。  12月17日に行われたプレスセミナーでは、日本赤十字社医療センターの鈴木 憲史氏、岡山医療センターの角南 一貴氏がイサツキシマブの各療法の承認に至った試験概要や新たな治療法への期待について講演した。

レンバチニブ+ペムブロリズマブの併用療法が 進行・再発の子宮体がんに承認/エーザイ・MSD

 エーザイとMSDは、2021年12月24日、経口チロシンキナーゼ阻害薬レンバチニブ(製品名:レンビマブ)と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)の併用療法について、「がん化学療法後に増悪した切除不能な進行・再発の子宮体癌」の適応で、厚生労働省より承認を取得した。  同承認は、日本におけるレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の初めての承認である。同併用療法は、進行性子宮体がん(米国と欧州では進行性子宮内膜がん)に係る適応で、日本、米国および欧州において承認されたことになる。

世界初、RET融合遺伝子TKIのセルペルカチニブ発売/日本イーライリリー

 2021年9月末にセルペルカチニブ(商品名:レットヴィモ)が「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)」に対する治療薬として世界で初めて承認され、日本イーライリリーは発売に合わせ12月16日にプレスセミナーを開催した。  日本における肺がんの罹患全国推定数は約12万人(2017年)、がん種別の死亡数では男女とも1位(2019年)。従来の手術、化学療法、放射線療法に加え、近年の分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の登場により、治療が著しく進化している。セミナーでは国立がん研究センター東病院の後藤 功一氏が、肺がんにおける遺伝子治療の現状やセルペルカチニブ承認の基となったデータを解説した。

アグレッシブB細胞性リンパ腫の2次治療、チサゲンレクルユーセルvs.標準治療/NEJM

 1次治療に抵抗性を示すなど、アグレッシブB細胞性非ホジキンリンパ腫に対し、2次治療としてのチサゲンレクルユーセルは、標準治療(救援療法)に対して優越性を示さなかった。米国・シカゴ大学のMichael R. Bishop氏らが行った国際的な第III相無作為化試験で示された。同患者では、1次治療に抵抗性または同治療後12ヵ月以内に病勢進行が認められた場合の転帰は不良とされる。今回の結果を受けて著者は、「どの患者がいずれのアプローチから最大の利益を得ることができるのか、さらなる研究が必要である」と述べている。NEJM誌オンライン版2021年12月14日号掲載の報告。

DLBCLへのpola-R-CHP療法vs. R-CHOP療法/NEJM

 未治療のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)患者において、R-CHOP療法(リツキシマブ+シクロホスファミド+ドキソルビシン+prednisone)よりも、抗CD79b抗体薬物複合体・ポラツズマブ-ベドチン+R-CHP療法(pola-R-CHP療法)を受けた患者のほうが、2年時点の病勢進行・再発・死亡の複合リスクが約27%低かったことが示された。フランス・Centre Henri-BecquerelのH. Tilly氏らが、879例を対象に行った国際的な第III相二重盲検プラセボ対照無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2021年12月14日号で発表した。DLBCLに対しては通常R-CHOP療法が行われるが、治癒が期待できるのは60%のみであった。  研究グループは、未治療で中等度~高度リスクの18~80歳のDLBCL患者を対象に、従来R-CHOP療法と、pola-R-CHP療法を比較する検討を行った。  被験者を無作為に1対1の割合で2群に分け、pola-R-CHP療法またはR-CHOP療法をそれぞれ6サイクル、その後リツキシマブを2サイクル投与した。  主要評価項目は、研究者の評価による無増悪生存(PFS)。副次アウトカムは、全生存(OS)および安全性とした。