腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:159

尿路上皮がんに対する抗FGFR阻害薬とPD-1抗体の併用は有用な可能性(NORSE)/ESMO2021

 転移を有する尿路上皮がん(mUC)に対するerdafitinibとcetrelimabの併用は、erdafitinib単独よりも有用であることが、英国・Queen Mary University St. Bartholomew's HospitalのThomas Powles氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  erdafitinibは線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)の遺伝子異常を標的としたチロシンキナーゼ阻害薬で、2019年に米国で転移のある尿路上皮がんに対して迅速承認されている。一方、cetrelimabは抗PD-1抗体である(両剤ともに本邦未発売)。今回の発表はこの2剤併用の有用性を検討する第II相比較試験の中間解析結果。

アテゾリスマブの非小細胞肺がん術後アジュバントが米国で承認/ロシュ

 ロシュは、2021年10月15日、米国食品医薬品局(FDA)が、PD-L1≧1%であるStageII-IIIA非小細胞肺がん(NSCLC)の手術後、プラチナベース化学療法後の補助療法としてアテゾリズマブ(製品名:テセントリク)を承認したと発表した。  IMpower010は、外科的切除後のステージIB-IIIA NSCLC(UICC / AJCC第7版)患者を対象に、アテゾリズマブの有効性と安全性を評価する第III相国際多施設非盲検無作為化試験である。

HER2 exon20変異肺がんにpoziotinibが有力な成績示す(ZENITH20)/ESMO2021

 EGFRおよびHER2のexon20挿入変異は非小細胞肺がん(NSCLC)の2〜4%である。しかし、その予後は不良かつ治療も困難で、exon20への非特異的な治療の無増悪生存期間(PFS)は3〜7ヵ月とされる。  HER2、EGFR exon20挿入変異陽性NSCLCの新薬開発が進んでいる。EGFR-MET二重特異性抗体amivantamab、ASCO2021では中国のDZD9008、9月にはmobocertinibが米国で迅速承認された。  欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)では、汎HER-TKIであるpoziotinibのマルチコホート試験ZENITH20の一部結果が発表され、HER2 exon20挿入変異への有力な成績が示された。

切除不能転移大腸がん1次治療、FOLFOXIRI+ベバシズマブへのアテゾリズマブ上乗せ(AtezoTRIBE)/ESMO2021

 未治療の切除不能転移大腸がん(mCRC)に対し、FOLFOXIRI+ベバシズマブ(BEV)+アテゾリズマブはFOLFOXIRI+BEVと比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長することが、Gruppo Oncologico del Nord-Ovest(GONO)グループによる「AtezoTRIBE試験」で示された。イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  AtezoTRIBE試験はGONOによる無作為化非盲検第II相試験で、mCRCの1次治療における第1選択であるFOLFOXIRI+BEVに、抗PD-L1抗体のアテゾリズマブを併用することにより、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)/DNAミスマッチ修復欠損(dMMR)の有無にかかわらず患者の予後を改善できるかを検証したもの。  

KRAS G12C変異大腸がん、adagrasib±セツキシマブ併用療法(KRYSTAL-1)/ESMO2021

 既治療のKRAS G12C変異陽性進行大腸がん(CRC)患者において、KRAS G12C阻害薬adagrasibの単剤療法およびセツキシマブとの併用療法は、忍容性が良好で有効性が期待できることが「KRYSTAL-1試験」で示され、米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のJared Weiss氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  KRYSTAL-1試験は、KRAS G12C変異陽性の進行固形がん患者を対象とするマルチコホート第I/II相試験。  今回は、CRCを対象としたadagrasib単剤療法(第I/Ib相2例、第II相44例、データカットオフ日2021年5月25日、追跡期間中央値8.9ヵ月)、ならびにセツキシマブ併用療法(第Ib相32例、データカットオフ日2021年7月9日、追跡期間中央値7ヵ月)の中間解析が報告された。

造血器腫瘍における遺伝子パネル検査、現状と今後の課題は?/日本血液学会

 2019年6月に固形がんに対する遺伝子パネル検査が保険適用となり実臨床で使われるようになっているが、リキッドバイオプシーを使ったパネル検査が登場し、造血器腫瘍においても数年内にパネル検査が保険適応となる見込みだ。2021年9月23~25日にオンライン開催された第83回日本血液学会学術集会では「血液内科におけるゲノム医療の現状と課題」と題するシンポジウムが行われ、現状の課題と今後について情報が共有された。  冒頭、国立がん研究センター研究所の片岡 圭亮氏が「造血器腫瘍におけるパネル検査の活用:診断・予後予測」と題する発表を行った。この中で片岡氏は「固形がんのパネル検査は遺伝子異常を発見して適合する薬を見つける、いわゆるコンパニオン診断が主な目的なのに対し、造血器腫瘍では治療のほか、診断と予後予測にも使われる。現在、固形がんのパネル検査は標準治療後の患者が対象だが、造血器腫瘍では初発段階から使えることが望ましい」と説明した。さらに「造血器腫瘍で多く発生する遺伝子異常は固形がんとは異なるため、新たな専用パネルが必要となる」と述べた。

デュルバルマブの小細胞肺がん1次治療、3年の成績(CASPIAN)/ESMO2021

 進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療として、デュルバルマブと化学療法(エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン、EP)併用はEP単独と比較して、追跡期間中央値3年超の時点でも持続的な全生存期間(OS)の延長が示された。  スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis Paz-Ares氏が、「CASPIAN試験」の3年フォローアップの結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  CASPIAN試験は、ES-SCLCの1次治療としてデュルバルマブ±tremelimumab+EPとEP単独療法の安全性と有効性を比較した第III相の国際多施設共同無作為化非盲検無作為化試験。追跡期間中央値25.1ヵ月時点で、デュルバルマブ+EP併用群のEP単独群に対する有意なOS改善が示され(HR:0.73、p=0.0047)、2年フォローアップ時でも持続的な改善が確認されていた(HR:0.75、p=0.0032)。デュルバルマブ+tremelimumab+EP併用群は、数値上のOS改善は示されたが統計的な有意性の基準は達成しなかった。

非小細胞肺がん1次治療cemiplimab+化学療法(EMPOWER-Lung3)/ESMO2021

 変異のない進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療に対する新PD-1阻害薬cemiplimabと化学療法の併用を評価するEMPOWER-Lung3試験の結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表された。cemiplimab+化学療法のNSCLC1次治療としての可能性が示唆されている。  EMPOWER-Lung3は2部構成の無作為化第III相試験。今回発表されたのは、Part2試験の2回目の中間解析の結果である。

胃、食道腺がん1次治療のニボルマブ+化学療法の追加解析、ニボルマブ+イピリムマブ初回解析(CheckMate 649)/ESMO2021

 胃がん、胃食道接合部がんおよび食道腺がんの1次治療において、ニボルマブ+化学療法(NIVO+Chemo)は化学療法単独と比較し、追跡期間を1年延長しても全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)の有意な改善が引き続き認められた。ただし、ニボルマブ+イピリムマブ(NIVO+IPI)については、PD-L1 CPS≧5の患者において化学療法単独と比較しOSの有意な改善は認められなかった。  第III相CheckMate-649試験の最新解析結果を、米国・メモリアルスローンケタリングがんセンターのYelena Y. Janjigian氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。

乳がん術後の放射線寡分割照射と通常分割照射の急性毒性を比較(HypoG-01)/ESMO2021

 乳がん術後の放射線療法の照射回数と期間が照射後の安全性に与える影響を検討したHypoG-01試験の結果がフランス・Institut Gustave RoussyのSofia Rivera氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  同試験はフランス国内で実施された多施設共同の非劣性検証第III相試験である。