HER2+乳がん2次治療、HR0.28でT-DXdがPFS延長(DESTINY-Breast03)/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2022/03/31

 

 トラスツズマブおよびタキサン系薬剤による治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移のある乳がん患者において、抗HER2抗体薬物複合体トラスツズマブ デルクステカン(商品名:エンハーツ)はトラスツズマブ エムタンシン(同:カドサイラ)と比較し、病勢進行または死亡のリスクを有意に低下させることが認められた。スペイン・International Breast Cancer CenterのJavier Cortes氏らが、世界15ヵ国169施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「DESTINY-Breast03試験」の中間解析結果を報告した。本試験での発現率はこれまでの臨床試験に比べ数値的に低かったもののトラスツズマブ デルクステカンの投与は間質性肺疾患の発現と関連しており、著者は「臨床使用においては慎重なモニタリングが不可欠」と注意を促したうえで、「トラスツズマブ デルクステカンは、トラスツズマブとタキサン系薬剤、ならびにペルツズマブによる治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者に対する有効な新しい治療薬である」とまとめている。NEJM誌2022年3月24日号掲載の報告。

主要評価項目はPFS、副次評価項目はOSとORR

 研究グループは、2018年7月20日~2020年6月23日に、トラスツズマブとタキサン系薬剤による治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移性乳がん患者524例を、トラスツズマブ デルクステカン(5.4mg/kg、3週間間隔で静脈内投与)群とトラスツズマブ エムタンシン(3.6mg/kg、3週間間隔で静脈内投与)群に、ホルモン受容体の状態(陽性または陰性)、ペルツズマブ治療歴、内臓転移の有無を層別因子として1対1の割合に無作為に割り付けた。

 主要評価項目は盲検下独立中央判定(BICR)による無増悪生存(PFS)、主要な副次評価項目は全生存(OS)、その他の副次評価項目はBICRおよび治験担当医師判定による客観的奏効率(ORR)、治験担当医師判定によるPFS、および安全性であった。

トラスツズマブ デルクステカンは病勢進行または死亡のリスクを72%低下

 追跡期間中央値がトラスツズマブ デルクステカン群16.2ヵ月、トラスツズマブ エムタンシン群15.3ヵ月において、PFS期間中央値はトラスツズマブ デルクステカン群は未到達、トラスツズマブ エムタンシン群は6.8ヵ月(95%信頼区間[CI]:5.6~8.2)であった。12ヵ月時点のPFS率はそれぞれ75.8%(95%CI:69.8~80.7)、34.1%(27.7~40.5)で、病勢進行または死亡のハザード比は0.28(95%CI:0.22~0.37、p<0.001)であった。

 また、12ヵ月時のOS率は、トラスツズマブ デルクステカン群94.1%(95%CI:90.3~96.4)、トラスツズマブ エムタンシン群85.9%(80.9~89.7)で、死亡に関するハザード比は0.55(95%CI:0.36~0.86、p=0.007)であり、事前に規定した有意水準(p<0.000265)を満たさなかった。

 ORRは、トラスツズマブ デルクステカン群79.7%(95%CI:74.3~84.4)、トラスツズマブ エムタンシン群34.2%(28.5~40.3)であった。

 全Gradeの副作用発現率は、トラスツズマブ デルクステカン群98.1%、トラスツズマブ エムタンシン群86.6%、Grade3/4の副作用発現率はそれぞれ45.1%、39.8%であった。間質性肺疾患はトラスツズマブ デルクステカン群で27例(10.5%)、トラスツズマブ エムタンシン群で5例(1.9%)に認められ、いずれもGrade3以下であった。

(ケアネット)

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コメンテーター : 下村 昭彦( しもむら あきひこ ) 氏

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

乳腺・腫瘍内科/がん総合内科