腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:161

転移のあるホルモン感受性前立腺がん対するエンザルタミド+ADT療法はOSを改善(ARCHES)/ESMO2021

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対するエンザルタミドとアンドロゲン遮断療法(ADT)の併用は、ADT単独療法より全生存期間(OS)を延長することが示された。  これは国際共同の大規模臨床試験であるARCHES試験の結果で、米国・Duke Cancer Institute CenterのAndrew J. Armstrong氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。同試験は日本も参加した二重盲検無作為化比較第III試験。

HR+/HER2+早期乳がん、de-escalateした術前補助療法に適した症例は?(ADAPT TP)/ESMO2021

 ホルモン受容体陽性HER2陽性(HR+/HER2+)早期乳がんに対するT-DM1(トラスツズマブ エムタンシン)でのde-escalateした術前補助療法において、治療前の腫瘍免疫原性が高いほど病理学的奏効(pCR)率が高く予後良好なことが、ドイツ・West German Study Group(WSG)によるADAPT triple positive(TP)試験で示された。WSGのNadia Harbeck氏が欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表した。  ADAPT TP試験はWSGによる第II相試験で、ADAPTアンブレラ試験の一部である。すでに主要評価項目であるpCR率はT-DM1投与群で40%を超え、副次評価項目の生存アウトカムも良好だったことが報告されている。今回は、もう1つの副次評価項目であるトランスレーショナルリサーチについて、治療前の生検で分析されたバイオマーカーにより検討された。

先生の大切な人に知らせませんか、乳がん啓発のクラウドファンディング開始

 YouTubeを中心に、ブレスト・アウェアネスや乳がんに関する情報発信を行っている一般社団法人BC Tubeが、「あなたの手紙で、大切な人にもブレスト・アウェアネスを」と題したクラウドファンディングのプロジェクトを開始させた。プロジェクトを通して、参加者が大切な人への手紙を送ることで、“手紙を受け取った人が自分の健康へ目を向けるきっかけをつくる”ことを目指している。  一般社団法人BC Tubeは、有志の乳腺科医が集まり、乳がんに関する理解しやすい適切な医療情報を広めることで、人々の乳がんに関する意識を高め、人々の健康と福祉に寄与することを目的として、2020年11月に設立。症状や検査、治療法等についての解説動画をYouTubeに投稿している。

セルペルカチニブがRET陽性非小細胞肺がんに国内承認/イーライリリー

 日本イーライリリーは、2021年9月27日、セルペルカチニブ(製品名:レットヴィモ)について、厚生労働省より「RET融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」に対する治療薬として、製造販売承認を取得したと発表。  今回の承認は、国際共同第I/II相試験であるLIBRETTO-001試験に基づいたもの。  セルペルカチニブは、RET融合遺伝子陽性非小細胞肺がんに対して世界で初めて承認された、RETのキナーゼ活性を選択的に阻害する低分子チロシンキナーゼ阻害薬である。

ニボルマブ、小児ホジキンリンパ腫に対する承認取得/BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、抗PD-1抗体のニボルマブ(商品名:オプジーボ)が、小児の再発又は難治性古典的ホジキンリンパ腫に対する承認を取得したことを発表した。  ホジキンリンパ腫はリンパ細網系から生じた細胞の限局性又は播種性の悪性腫瘍であり、 国内の年間発症患者数は約1,720人、小児における年間発症患者数は約70人と推定されている。小児ホジキンリンパ腫の一次治療には化学療法等が行われ、再発または治療抵抗性の場合にはさらなる化学療法や抗CD30モノクローナル抗体であるブレンツキシマブ ベドチン等による治療が行われているものの予後は厳しく、ニボルマブは新たな選択肢の一つとして期待される。

ペムブロリズマブ+化学療法、子宮頸がん1次治療の生存改善(KEYNOTE-826)/ESMO2021

 欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)において、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブの子宮頸がん1次治療による生存の改善が報告された。  KEYNOTE-826試験は、全身化学療法未実施の再発または転移を有する子宮頸がん患者617例を対象に、ペムブロリズマブ+化学療法±ベバシズマブとプラセボ+化学療法±ベバシズマブを比較した無作為化第III相試験。  主要評価項目である全生存期間(OS)は、全対象患者でペムブロリズマブ群24.4ヵ月に対し、プラセボ群16.5ヵ月(ハザード比[HR] :0.67、95%信頼区間[CI]: 0.54~0.84)、もう1つの主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)も、ペムブロリズマブ群10.4ヵ月に対し、プラセボ群8.2ヵ月と、ペムブロリズマブの併用により有意に延長した(HR:0.65、95%CI:0.53〜0.79、p<0.001)。 ペムブロリズマブ群のPFSおよびOSの改善は、PD-L1陽性レベル(CPS)を問わず示されている。

ribociclib+レトロゾールが乳がん1次治療のOSを改善(MONALEESA-2)/ESMO2021

 HR陽性HER2陰性の転移を有する乳がん(mHRBC)に対するCDK4/6阻害薬ribociclibとレトロゾールの併用療法による1次治療は、レトロゾール単独療法より全生存期間(OS)を延長することが示された。国際共同の大規模臨床試験であるMONALEESA-2試験の最終解析で、米国The University of Texas MD Anderson Cancer CenterのGabriel N. Hortobagyi氏より、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)にて発表された。  本試験は二重盲検無作為化第III相試験であり、ribociclibは本邦では未発売である。

カルボプラチン+パクリタキセルの術前療法がTN乳がんの予後を改善(BrighTNess)/ESMO2021

 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対する術前療法としてのカルボプラチン+パクリタキセル療法が、長期予後追跡の結果、無イベント生存期間(EFS)を改善することが示唆された。これは大規模臨床試験のBrighTNess試験の結果であり、ドイツ・German Breast Group(GBG)のSibylle Loibl氏より、WEB開催の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2021)で発表された。  本試験は、国際共同の第III相比較試験であり、すでに主要評価項目である病理学的奏効率(pCR率)については2018年に報告済みである。今回は長期予後のEFSと全生存期間(OS)に関する報告。

非小細胞肺がん2次治療に現れた新規作用薬plinabulin(DUBLIN-3)/ESMO2021

 プラチナベース化学療法で進行した2〜3次治療の非小細胞肺がん(NSCLC)におけるplinabulinとドセタキセルの併用の有用性を評価した国際無作為化第III相試験DUBLIN-3の初回解析が欧州臨床腫瘍学会(ESMO COngress2021)で発表された。その結果、plinabulinとドセタキセルは当該対象患者に対する有効性を良好な安全性を示した。  EGFR変異のないNSCLC、1次治療のスタンダードがPD-(L)1阻害薬となった現在、2次治療の主体はドセタキセルベースの化学療法である。しかし、ドセタキセルの効果は限定的であり、好中球減少の懸念も拭えず、2次治療にはアンメットニーズがある。

迅速承認がん治療薬、確認試験が否定的でも推奨薬のまま?/BMJ

 米国食品医薬品局(FDA)の迅速承認を受けたがん治療薬の適応症は、法令で定められた承認後確認試験で有効性の主要エンドポイントの改善が得られなかった場合であっても、3分の1が添付文書に正式なFDAの承認を得たものとして記載され、数年にわたり診療ガイドラインで推奨されたままの薬剤もあることが、カナダ・クイーンズ大学のBishal Gyawali氏らの調査で示された。研究の詳細は、BMJ誌2021年9月8日号で報告された。  研究グループは、FDAの迅速承認を受けたものの、承認後確認試験で主要エンドポイントの改善が得られなかったがん治療薬の規制上の取り扱いを調査し、承認後確認試験の否定的な結果が診療ガイドラインでの推奨にどの程度影響を及ぼしているかを評価する目的で、後ろ向き観察研究を実施した(米国・Arnold Venturesの助成を受けた)。