腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:160

NSCLC術後補助療法、ペメトレキセド+シスプラチンの有効性は?/JCO

 完全切除のStageII~IIIAの非小細胞肺がん(NSCLC)に対する術後補助療法としてのペメトレキセド+シスプラチンの有効性について、ビノレルビン+シスプラチンと比較した第III相無作為化非盲検試験の結果が示された。静岡がんセンター呼吸器内科の釼持広知氏らによる報告で、ペメトレキセド+シスプラチンの優越性は示されなかったが、補助化学療法として忍容性は良好であることが示されたという。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2020年5月14日号の掲載報告。

緑茶・コーヒー・アルコールと乳がんリスク~日本人女性

 日本の全国多施設前向きコホート研究であるJapan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk(JACC)Studyにおいて、緑茶・コーヒー・アルコールと乳がんリスクの関連を調べた結果、アルコール摂取と乳がんリスク増加との関連がみられた一方、乳がんリスクとの関連の結論が出ていない緑茶やコーヒーについては関連がみられなかった。Asian Pacific Journal of Cancer Prevention誌2020年6月1日号に掲載。  本研究の対象は、JACC Studyにおける国内24地域の40〜79歳の日本人女性3万3,396人。20年以上の追跡期間中に乳がんが255例に発症した。乳がんリスクと緑茶、コーヒー、アルコールの摂取の間の独立した関連性を評価するために、多変量ロジスティック回帰分析を行った。

カプマチニブ、METエクソン14スキッピング陽性肺がんに国内承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマは、2020年 6月29日、MET遺伝子エクソン14スキッピング変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)治療薬として、カプマチニブ(商品名:タブレクタ)に対する製造販売承認を取得したと発表。  MET遺伝子エクソン14スキッピング(METex14)変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLCの予後は不良で、生命を脅かす重篤な疾患である一方、治療選択肢が非常に限られており、MET遺伝子を標的とした治療法の開発が望まれていた。MET遺伝子変異を有する患者はNSCLC患者数の約3~4%と報告されており、METex14変異陽性の切除不能な進行・再発のNSCLC患者数は日本国内では約3,000名程度と推定される。

多発性骨髄腫、3剤併用療法の長期アウトカムは?/JCO

 多発性骨髄腫に対する3剤併用(レナリドミド+ボルテゾミブ+デキサメタゾン:RVD)療法の有効性について、最大規模のコホートで長期追跡したアウトカムの結果が報告された。米国・エモリー大学のNisha S. Joseph氏らによる検討で、移植後患者の奏効率は90%近くに上り、リスクに留意した維持療法により、先例のない長期アウトカムがもたらされる可能性があることが示されたという。RVD療法は、移植治療の適格・不適格を問わず、導入療法としての有効性は高く、重宝するレジメンであることが示されていた。Journal of Clinical Oncology誌2020年6月10日号掲載の報告。

COVID-19、がん患者の全死亡率への影響/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患したがん患者のデータが不足している中、米国・Advanced Cancer Research GroupのNicole M. Kuderer氏らによる検討で、COVID-19に罹患したがん患者の30日全死因死亡率は高く、一般的なリスク因子(年齢、男性、喫煙歴など)、およびがん患者に特異な因子(ECOG PS、活動性など)との関連性が明らかにされた。今回の結果を踏まえて著者は、「さらなる長期追跡を行い、がん患者の転帰へのCOVID-19の影響を、特異的がん治療の継続可能性も含めて、明らかにする必要がある」とまとめている。Lancet誌2020年6月20日号掲載の報告。  研究グループは、COVID-19罹患のがん患者コホートの転帰を特徴付け、死亡および疾患重症化の潜在的予測因子を特定するコホート研究を行った。

進行性前立腺がんに対する経口レルゴリクスによるアンドロゲン除去療法(解説:宮嶋哲氏)-1250

GnRHアゴニストの皮下注射薬リュープロリドは、視床下部-下垂体系に作用して男性ホルモンを去勢域まで低下させ、現在のところ前立腺がんに対するアンドロゲン除去療法(ADT)の標準治療薬である。GnRHアゴニストの作用機序は初期段階で男性ホルモンを上昇させ、そのネガティブフィードバックによって男性ホルモンを去勢域に低下させる。わが国における前立腺がん治療薬としては、皮下注射薬リュープロリドは1ヵ月から6ヵ月製剤まで普及している一方で、皮下注射薬GnRHアンタゴニストも普及しつつある。作用機序もシンプルでありGnRHアゴニストのような一過性の男性ホルモンの上昇はない。

デュルバルマブ承認後の実臨床における、局所進行非小細胞肺がんCCRTの肺臓炎(HOPE-005/CRIMSON)/ASCO2020

 デュルバルマブが局所進行非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線同時療法(CCRT)後の地固め療法の標準治療として確立された。しかし、デュルバルマブ承認後の実臨床におけるCCRTの実態は明らかになっていない。この実臨床の状況を調べるため、Hanshin Oncology critical Problem Evaluate group(HOPE)では、プラチナ化学療法と放射線の同時療法(CCRT)を受けた局所進行NSCLC患者を対象にした後ろ向きコホート研究を実施。肺臓炎/放射線肺臓炎(以下、肺臓炎)の実態に関する結果を千葉大学の齋藤 合氏が米国臨床腫瘍学会(ASCO20 Virtual Scoentific Program)で発表した。

肝細胞がんに対するレンバチニブ・ペムブロリズマブ併用療法/ASCO2020

 米国・マサチューセッツ総合病院がんセンターのAndrew X. Zhu氏は、切除不能に対する肝細胞がんに対するマルチキナーゼ阻害薬レンバチニブと免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)ペムブロリズマブの併用療法の第1b相試験(116/KEYNOTE-524試験)の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で発表。この併用療法が良好な抗腫瘍効果と安全性を示したと報告した。

血液による大腸がん術後再発リスク評価、医師主導治験開始/国立がん研究センター

 リキッドバイオプシーと遺伝子パネル検査を活用し、“見えないがん(術後微小残存病変)”を対象とした、大腸がんの新たな術後再発リスク評価手法の確立を目指す、世界最大規模の医師主導国際共同臨床試験が開始された。国立がん研究センターによる新プロジェクト「CIRCULATE-Japan」の一環として実施されるもので、同プロジェクトでは産学連携全国がんゲノムスクリーニング事業「SCRUM-Japan」の基盤を活用し、切除可能大腸がんにおける、遺伝子異常・臨床情報を大規模データベース化していく。  現在、大腸がんの術後再発リスク評価は術後の病理組織検査によるがんの術後ステージによって推定され、術後補助化学療法が行われる。しかし、ステージに基づく再発リスク推定だけでは、本来必要がない症例にも再発リスクの高い症例と同じ治療が実施され、末梢神経障害が後遺症として残るなど、副作用が発現する場合がある。

イサツキシマブ、再発・難治の骨髄腫に国内承認/サノフィ

 サノフィは、2020年6月29日、イサツキシマブ(商品名:サークリサ)が「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の効能又は効果で製造販売承認を取得したと発表。  CD38は多発性骨髄腫細胞に幅広くかつ高発現しており、イサツキシマブは、多発性骨髄腫細胞のCD38受容体にある特異的なエピトープを標的とする新規のモノクローナル抗体製剤である。  今回の承認は、イサツキシマブをポマリドミド・デキサメタゾン併用療法に追加する無作為化第III相試験(ICARIA-MM試験)のデータに基づいており、この試験では、イサツキシマブ併用群において無増悪生存期間の統計学的に有意な改善が認められた。本国際共同治験には、日本も参加している。