乳がん検診10年の偽陽性リスク、乳房トモシンセシスvs.デジタルマンモグラフィ

提供元:ケアネット

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公開日:2022/04/01

 

 デジタル乳房トモシンセシスによる乳がん検診は、デジタルマンモグラフィより偽陽性率が低い可能性がある。米国・カリフォルニア大学デービス校のThao-Quyen H. Ho氏らは、デジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィによる10年間の検診で、偽陽性の累積リスクを推定した結果、デジタル乳房トモシンセシスのほうが低く、また、モダリティの違いよりも隔年検診・高齢・非高濃度乳房が偽陽性率の大幅な低下と関連することが示された。JAMA Network Open誌2022年3月1日号に掲載。

 本研究は、Breast Cancer Surveillance Consortiumの126の放射線施設において、2005年1月1日~2018年12月31日に前向きに収集したデータを用いた効果比較研究で、40~79歳の90万3,495人の結果を2021年2月9日から9月7日まで分析。乳がん診断と死亡の競合リスクを考慮し、年1回もしくは隔年でデジタル乳房トモシンセシスまたはデジタルマンモグラフィで10年間検診後、追加画像診断・短い間隔での経過観察の推奨・生検の推奨について1回以上の偽陽性リコールの累積リスクを評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・90万3,495人の女性における296万9,055回の検診(初回検診を除く)の画像を、放射線科医699人が読影した。
・検診時の平均年齢(SD)は57.6(9.9)歳、60歳未満での検診が58%、高濃度乳房は46%、トモシンセシスでの検診が15%だった。
・年1回の検診では、10年間における1回以上の偽陽性の累積確率はデジタルマンモグラフィに比べトモシンセシスで有意に低かった。全リコールは49.6% vs.56.3%(差:-6.7、95%CI:-7.4~-6.1)、短い間隔での経過観察の推奨で16.6% vs.17.8%(差:-1.1、95%CI:-1.7~-0.6)、生検の推奨で11.2% xs.11.7%(差:-0.5、95%CI:-1.0~-0.1)だった。
・隔年の検診でも、偽陽性の累積確率は、デジタルマンモグラフィに比べトモシンセシスで有意に低かった(35.7% vs.38.1%、差:-2.4、95%CI:-3.4~-1.5)が、短い間隔での経過観察の推奨(10.3% vs.10.5%、差:-0.1、95%CI:-0.7~0.5)、生検の推奨(6.6% vs.6.7%、差:-0.1、95%CI:-0.5~0.4)では有意な差はなかった。
・デジタルマンモグラフィに対するトモシンセシスでの偽陽性の累積確率の減少は、年1回検診した非高濃度乳房の女性で最も大きかった。
・モダリティにかかわらず、偽陽性の累積確率は、年1回の検診より隔年の検診、年齢が若い患者より高い患者、extremely dense breastの女性よりentirely fattyの女性で大幅に低かった。

(ケアネット 金沢 浩子)