医療一般|page:2

中年日本人男性における就寝前の水分摂取が睡眠や抑うつ症状に及ぼす影響

 日中の適切な水分摂取はメンタルヘルスを向上させることが知られている。しかし、就寝中への影響はいまだ明らかになっていない。産業技術総合研究所の甲斐田 幸佐氏らは、就寝前の白湯摂取が睡眠パラメーターおよび抑うつ気分に及ぼす影響を明らかにするため、本研究を実施した。PLoS One誌2026年1月6日号の報告。  本研究は日本人2,000人を対象に、就寝前の水分摂取とうつ病自己評価尺度(CES-D)を用いて測定した抑うつ気分との関連を明らかにするため、質問票を用いて調査を行った(Study1)。また、就寝直前に280mLの白湯を摂取した場合と、就寝前2時間以上何も摂取しない場合の影響を比較した(Study2)。

蛋白尿の進行が認知機能低下と独立して関連

 慢性腎臓病(CKD)患者を対象とした前向きコホート研究により、CKDの重症度が認知機能障害の発症リスク上昇と関連し、とくに蛋白尿の進行が注意力・処理速度および実行機能の低下と独立して関連することが、米国・Tulane University School of Public Health and Tropical MedicineのZhijie Huang氏らにより示された。JAMA Network Open誌2026年2月17日号掲載の報告。  これまでの研究により、CKDが認知症や認知機能低下のリスク因子となる可能性が指摘されているが、CKD患者のみを対象に前向きに検討した研究は限られている。そこで研究グループは、推算糸球体濾過量(eGFR)の低下と尿蛋白/クレアチニン比(UPCR)の上昇が認知機能障害の発症率上昇と関連するという仮説を立て、eGFRおよびUPCRに基づくCKD重症度と認知機能障害の発症との関連を検討した。

マスクで心筋梗塞リスクが低下!?/Eur Heart J

 PM2.5への短期曝露は、急性心筋梗塞(AMI)リスクと関連することが知られている。AMIのなかでも、冠動脈閉塞を伴わない心筋梗塞(MINOCA)は、PM2.5の影響を受けやすい可能性がある。そこで、石井 正将氏(熊本大学病院 医療情報経営企画部)らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックに伴うマスク着用や行動制限などの公衆衛生上の介入が、PM2.5曝露とAMIによる入院との関連に及ぼす影響を調査した。その結果、パンデミック前後のPM2.5への曝露に伴う心筋梗塞による入院リスクは、AMI全体および閉塞性冠動脈疾患を伴う心筋梗塞(MI-CAD)では不変であったが、MINOCAではパンデミック後に有意に低下した。本研究結果は、European Heart Journal誌オンライン版2026年2月13日号に掲載された。

日本における認知症の診断遅延と関連する要因は?

 認知症患者とその家族の生活の質を向上させるには、早期の診断とケア開始が不可欠である。日本では、支援団体が診断前後の孤立期である空白期間に注目しているが、その決定要因を検討した量的研究は、これまでほとんどなかった。東京都健康長寿医療センター研究所の岡村 毅氏らは、空白期間という枠組みを用いて、診断の遅れとケアアクセスの遅延に関連する要因を調査した。Psychogeriatrics誌2026年1月号の報告。  本研究では、日本国内の医療機関78施設と認知症サポート医27人の協力の下、外来診療を受けている認知症患者の家族介護者を対象に、探索的横断的調査を実施した。

電磁パルスが脳卒中からの回復を助ける

 脳卒中後に障害が残った患者の回復を促す可能性のある治療法として、脳を刺激する電磁パルスが役立つ可能性があることを示した研究結果が発表された。脳の特定の回路を電磁パルスで刺激する、電磁ネットワーク標的フィールド療法(ENTF〔electromagnetic network-targeted field〕療法)と呼ばれるこの治療法を理学療法と併用したところ、3分の1以上の患者で障害が大きく軽減したという。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)デイビッド・ゲフィン医科大学のJeffrey Saver氏らによるこの研究結果は、米国心臓協会(AHA)主催の国際脳卒中学会議(ISC 2026、2月4〜6日、米ニューオーリンズ)で発表された。  ENTF療法は、運動機能や認知機能など、さまざまな活動に関わる脳のネットワークを刺激する。

飲んでないのに酔っぱらう? その原因は腸のまれな病気の可能性

 お酒を全く飲んでいないのに酔ったようになることがあるとしたら、それは「自家醸造症候群」という、腸内細菌が関与している珍しい病気のせいかもしれない。この病気の発症メカニズムの一端を解明した、米マサチューセッツ総合病院マス・ジェネラル・ブリガムのElizabeth Hohmann氏らの研究結果が、「Nature Microbiology」に1月8日掲載された。  食品中の炭水化物が消化の過程で腸内細菌の働きを受けると、ごくわずかなアルコール(エタノール)が生成されることがある。このような反応は誰にでも起こり得るが、生成されるエタノールは微量であるため酔うようなことはない。ところが、エタノールが大量に生成されてしまう自家醸造症候群という非常にまれな疾患があり、その患者は一切飲酒をしていないにもかかわらず酔いを呈することがある。

孫の世話は祖父母の脳に良い?

 孫の世話をすることは脳の老化に良い影響を与え、認知機能の低下を防ぐ可能性があるようだ。新たな研究で、孫の世話をする高齢者は、世話をしていない高齢者と比べて、記憶力や言語能力のテストのスコアが高いことが示された。興味深いことに、このような効果は、孫の世話をする頻度とは関係していなかったという。ティルブルフ大学(オランダ)のFlavia Chereches氏らによるこの研究結果は、「Psychology and Aging」に1月26日掲載された。  Chereches氏は、「われわれにとって最も印象的だったのは、孫の世話をすること自体が、どのくらい頻繁に世話をしたか、あるいは具体的にどのような活動を一緒に行ったかよりも、認知機能に影響を与えるように見えたことだ」とニュースリリースで述べている。

家庭血圧測定を指示通りに実施する患者は少ない

 高血圧の治療は継続的なモニタリングに基づいており、医師は、患者が自宅で定期的に測定した血圧値を基に治療方針を調整する。しかし、遠隔高血圧管理プログラムに参加した高血圧患者の約3分の2が、血圧計が無料で提供され、教育と個別支援が行われても、自宅で指示通りに血圧を測定しなかったことが、新たな研究で明らかになった。米マス・ジェネラル・ブリガム心血管研究所のOzan Unlu氏らによるこの研究結果は、「JAMA Cardiology」に1月21日掲載された。Unlu氏は、「現行のガイドラインでは、正確な測定値を得るために、頻回かつ厳密なタイミングでの血圧測定を求めているが、日常生活の中でそれを実現するのは困難な場合が多い」とニュースリリースで述べている。

医師に対する死と終末期ケアに関する教育は不十分

 医師は、あらゆる職業の中でもとりわけ「死」に直面する機会が多い。それは、人命を救い、人を助けることに人生を捧げる職業に伴う宿命だ。しかし、現代の医学教育は、この避けられない課題に対して医師を十分に準備させていないようだ。最新のエビデンスレビューにおいて、医学部生が、人生の最終段階を迎える患者やその家族を支援する方法について学べる、エビデンスに基づいた教育はほとんど存在しないことが明らかになった。米ワシントン州立大学人間発達学分野のRaven Weaver氏らによるこの研究結果は、「Academic Medicine」に12月3日掲載された。

肝機能の「長期的な変化」が糖尿病リスクを予測か──日立コホート研究

 2型糖尿病は、発症前の段階でいかにリスクを捉えるかが重要となる。健康診断では肝機能検査が毎年行われているが、その数値は多くの場合、一過性の変動として単年ごとに評価されるにとどまってきた。日立コホート研究による約2万人・13年超の追跡解析から、若年期に一時的な肝機能高値を示し、その後数値が改善している人においても、将来の2型糖尿病リスクが高い傾向にあることが示された。肝機能の「一時点の値」ではなく長期的な変化のパターンに着目する重要性が浮き彫りになった。研究は、東海大学医学部基盤診療学系の深井航太氏らによるもので、詳細は12月14日付で「Scientific Reports」に掲載された。

日本の高齢進行乳がん患者へのパルボシクリブ+内分泌療法、RWでの転帰

 日本の65歳以上のホルモン受容体陽性(HR+)/HER2陰性(HER2-)進行乳がん患者において、パルボシクリブと内分泌療法併用の有効性は、65歳未満と同等であることがリアルワールドデータで示された。昭和医科大学の増田 紘子氏らは、P-BRIDGE試験の年齢群別サブグループ解析結果を、Breast Cancer誌オンライン版2月11日号に報告した。  P-BRIDGE試験は、日本国内で2017~20年に1次または2次治療としてパルボシクリブ+内分泌療法を開始したHR+/HER2-進行乳がん患者693例が組み入れられた多施設共同観察研究。治療転帰および治療パターンを年齢群別(65歳未満、65歳以上75歳未満、75歳以上)に評価した。

日本人片頭痛患者に対する抗CGRP mAbsの有効性と患者満足度

 抗カルシトニン遺伝子関連ペプチドモノクローナル抗体(CGRP mAbs)は、臨床試験および実臨床において片頭痛に対する有効性が確認されている。しかし、東アジアにおいては、頭痛頻度以外のデータは、依然として限られていた。慶應義塾大学の今井 俊吾氏らは、日本の実臨床における抗CGRP mAbsの長期的な有効性、忍容性、患者満足度を調査した。Journal of the Neurological Sciences誌2026年2月15日号の報告。  本単施設観察研究には、2021年8月〜2023年2月に、3種類の抗CGRP mAbs(エレヌマブ、ガルカネズマブ、フレマネズマブ)のいずれかを投与された片頭痛患者を登録した。

2024~25年コロナワクチンは重症化をどれくらい防いだのか?

 2024~25年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチン接種がCOVID-19関連アウトカムの予防に及ぼした効果を推定した症例対照研究の結果、入院に対するワクチンの有効性は40%であった一方、アウトカムが重篤であるほど有効性は高く、最も重篤な人工呼吸器使用または死亡に対する予防効果は79%であることが示された。これらの重症化予防効果は、ワクチン接種後少なくとも3~6ヵ月は持続した。米国疾病管理予防センター(CDC)のKevin C. Ma氏らが、JAMA Network Open誌2026年2月3日号で報告した。  対象は、2024年9月1日~2025年4月30日に、米国20州の26病院でCOVID-19様症状により入院し、SARS-CoV-2検査を受けた成人患者(18歳以上)であった。

隠れた心房細動の検出にスマートウォッチが有用

 気付かれにくく危険性の高い心臓リズム障害である心房細動(AF)を検出する医師の能力が、スマートウォッチによって大きく向上する可能性を示した臨床試験の結果が報告された。同試験でApple Watchを装着していた患者では、医師がAFを発見する頻度が4倍に増加したという。また、AFを抱えていたApple Watch装着者の半数以上には、診断前に明らかな症状はなかったことも分かった。アムステルダム大学医療センター(オランダ)の循環器専門医であるMichiel Winter氏らによるこの研究の詳細は、「Journal of the American College of Cardiology」に1月22日掲載された。

GLP-1受容体作動薬が2型糖尿病患者の椎体骨折リスクを低下させる可能性

 GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)が処方されている2型糖尿病患者は、椎体骨折のリスクが低いことを示すデータが報告された。国立成功大学(台湾)のWei-Thing Khor氏らの研究によるもので、「JAMA Surgery」に12月10日、レターとして掲載された。  近年、GLP-1RAが血糖降下以外のさまざまな副次的作用を有することを示す臨床データが報告されてきているが、2型糖尿病がリスク因子となり得る椎体骨折への影響についてはデータがまだ十分でない。この点についてKhor氏らは、世界各地の医療機関の電子医療記録を統合したリアルワールドのデータベースである「TriNetX」を用いて検討した。

初めて治療ゴールを示した「骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン」

 骨粗鬆症は、社会的認知も上がり、高齢者の診療では考慮しなければならない疾患となった。日本骨粗鬆症学会と日本骨代謝学会、骨粗鬆症財団の3団体は2025年8月に『骨粗鬆症の予防と治療のガイドライン 2025年版』(編集:骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会)を10年ぶりに刊行した。  今回の改訂では「Minds診療ガイドライン作成マニュアル」の作成方法を採用して作成され、新たにClinical Question(CQ)を設定してシステマティックレビューを行い、エビデンスの評価・統合をして推奨文が作成された。治療薬では新しい治療薬が追加されたほか、「治療アルゴリズム(初期治療選択)」が盛り込まれた。  本稿では、本ガイドラインの作成委員である萩野 浩氏(独立行政法人 労働者健康安全機構 山陰労災病院 院長)に改訂のポイントや骨粗鬆症予防の意義、今後の展望について聞いた。

HER2陽性胃がん、T-DXdの効果予測因子は?/名大など

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、2020年9月にHER2陽性の切除不能進行・再発胃がん患者に対して承認された。日本のリアルワールド研究により、T-DXd治療効果を予測する複数の因子が明らかになった。名古屋大学の中西 香企氏らによる本研究成果は、ESMO Gastrointestinal Oncology誌2025年6月号に発表された。  EN-DEAVOR研究は、胃がん患者におけるT-DXdの有効性と安全性を評価する多施設共同後ろ向き観察研究として実施された。対象は20歳以上のHER2陽性(IHC3+またはFISH陽性)の胃・胃食道接合部腺がん患者307例で、2020年9月~2021年9月にT-DXdを3次治療以降に投与された。今回は実臨床無増悪生存期間(real-world PFS:rwPFS)と奏効率(ORR)の予測因子を解析した。

抗精神病薬誘発性体重増加に最も有効な介入は〜ネットワークメタ解析

 統合失調症は、思考、感情、行動に影響を及ぼす重篤な精神疾患であり、世界人口の0.32%が罹患していると報告されている。抗精神病薬による治療は統合失調症の症状管理に不可欠であるが、患者の約半数が体重増加を経験しており、治療アドヒアランスの低下やさらなる健康合併症につながる可能性がある。エジプト・Zagazig UniversityのMohamed Ezzat M. Mansour氏らは、抗精神病薬誘発性体重増加に対する薬理学的および非薬理学的介入の安全性および有効性を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2025年12月24日号の報告。

男女のストレスの差異:女性は日々の運動からより多くの恩恵を受ける

 運動はどんな人にもメリットがあるが、ストレス軽減効果という点では、男性よりも女性の方がより多くの恩恵を受けられることが、米ギャラップ社が発表した健康・幸福指数に関する調査報告書で明らかになった。毎日運動している女性は、運動していない女性に比べてストレスを自覚する割合が20%低く、このストレス軽減効果は男性の約3倍に上るという。  米国の成人約1万7,000人を対象に昨年行われた調査に基づくと、30分以上の運動を週に6日間以上行っている女性は、全く運動していない女性に比べてストレスレベルが顕著に低いことが分かった。例えば、運動をしていない女性の56%が強いストレスを感じていると回答したのに対して、毎日体を動かしている女性はその割合が45%だった。つまり、ストレスを感じる程度が相対的に20%低かった。

コーヒーから見つかった新たな成分が2型糖尿病のコントロールに有望

 コーヒーの中から、2型糖尿病の血糖コントロールに役立つ新たな成分が見つかった。糖の吸収を遅くする作用があり、糖尿病の治療に用いられている薬剤よりも効果が優れている可能性もあるという。中国科学院昆明植物研究所のMinghua Qiu氏らの研究の結果であり、詳細は「Beverage Plant Research」2025年発行号に掲載された。  コーヒーについてはこれまでにも、エネルギー消費を増やしたりインスリンの感受性を高めたりする作用のあることが報告されてきている。今回の研究では新たに、焙煎したコーヒー豆に含まれている特定の成分が、食品中の糖が吸収されて血糖になるまでの速度を抑制することを示唆するデータが得られた。  血糖値は食後に高くなる。これは摂取した炭水化物食品が消化されてブドウ糖となり、それが吸収されて血液中に流れ込むためだ。