2026年5月21日、厚生労働省は選択的C5a受容体拮抗薬アバコパン(商品名:タブネオスカプセル10mg)について、添付文書の「警告」を新設し、「重要な基本的注意」などを改訂するとともに、「安全性速報(ブルーレター)」により医療関係者などに対して速やかに注意喚起を行うようキッセイ薬品工業に対し指示した。
アバコパンは顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症に対する治療薬で、承認申請時に提出された臨床試験成績を踏まえ、2021年9月の承認当初から、添付文書において重大な副作用として肝機能障害に関する注意喚起がなされていた。2022年6月の発売開始以降、本剤を服用した患者で「胆管消失症候群」を含む重篤な肝機能障害が発現した症例が報告されており、死亡に至った症例が国内で20例報告*されたという。なお、2025年2月~2026年1月の国内の年間推定使用患者数は8,503例に上る。
*2026年4月27日時点、キッセイ薬品工業の安全性データベースの集計(本剤との因果関係が不明なものを含む)
添付文書の追記は以下のとおり。
【警告】(新設)
胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。本剤投与中に重篤な肝機能障害がみられた場合には、本剤の投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
【重要な基本的注意】(下線部が追加)
肝機能障害があらわれることがあるので、以下の点について十分注意すること。多くの場合、これらの事象は投与開始後3ヵ月以内に発現している。
本剤の投与開始前、投与開始後3ヵ月間は少なくとも2週間に1回、その後の3ヵ月間は少なくとも4週間に1回、その後も投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
本剤投与中に基準値上限の3倍を超えるALT又はASTの上昇が認められた場合には、本剤の投与を中断し、速やかに患者の状態を評価すること。また、以下に該当する場合は本剤の投与を中止すること。
・ALT又はASTが基準値上限の8倍を超える場合
・ALT又はASTが基準値上限の5倍を超える状態が2週間を超えて持続した場合
・総ビリルビンが基準値上限の2倍を超える場合
・ALPが基準値上限の2倍以上の場合
・黄疸やそう痒等の肝機能障害の徴候又は症状が認められる場合
なお、胆管消失症候群が疑われる場合には、速やかに本剤の投与を中止すること。
なお、今回発出されたブルーレターでは、胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害の早期発見や重症化防止のため、肝機能検査の実施タイミングや頻度、投与中止基準などが明記。医療関係者に対して、以下のような注意喚起が示された。
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■胆管消失症候群を含む重篤な肝機能障害にご注意ください。
■多くの場合、投与開始後3ヵ月以内に発現しています。肝機能障害の早期発見や重症化防止のため、以下の点に十分ご注意ください。
○以下のタイミングで、肝機能検査を実施ください。
・投与開始前
・投与開始後3ヵ月間:少なくとも2週間に1回
・その後3ヵ月間:少なくとも4週間に1回
・6ヵ月目以降:定期的
○以下の所見が見られた場合は、適切な対応をお願いいたします。なお、胆管消失症候群が疑われる場合には、速やかに本剤の投与を中止してください。
・基準値上限の3倍を超えるALT又はASTの上昇が認められた場合
→本剤の投与を中断し、速やかに患者の状態を評価ください
・ALT又はASTが基準値上限の8倍を超える場合
・ALT又はASTが基準値上限の5倍を超える状態が2週間を超えて持続した場合
・総ビリルビンが基準値上限の2倍を超える場合
・ALPが基準値上限の2倍以上の場合
・黄疸やそう痒等の肝機能障害の徴候又は症状が認められる場合
→本剤の投与を中止してください
■患者の状態を十分に観察し、自他覚症状の発現に注意してください。異常が認められた場合はただちに医師・薬剤師に相談するよう、患者に対してご指導ください。
―――
(ケアネット 土井 舞子)