100年という期間で日本人の頭蓋などに変化は起こるであろうか。このテーマについて、東京大学大学院理学系研究科生物科学の臼井 詩織氏らの研究グループは、112例の頭蓋骨をCTスキャンデータで比較し、検討した。その結果、現在の日本人は短頭化し、乳様突起の肥大化など、100年前と比べ長期的変化があることが明らかになった。American Journal of Biological Anthropology誌2026年4月号に掲載。
現代人は100年前のヒトよりも頭が短い
研究グループは、約100年前の歴史的日本人と現代の日本人集団の頭蓋形状の3次元的な変容の詳細について、幾何学的形態測定学的解析を行った。
研究では、19世紀後半から20世紀初頭に生きた56例の歴史的日本人乾燥頭蓋骨のCTスキャンデータと、2020年代に死亡した56例の現代日本人の死後CTデータを調査した。各頭蓋骨は161のランドマークで表され、その座標は重心サイズによって正規化され、一般化プロクラステス法を用いて位置合わせを行った。その後、検体間の形状のばらつきを調査するために、主成分分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・2つの集団を比較した結果、短頭化や乳様突起の肥大化など、明確な長期的変化が明らかになった。
・男性における乳様突起の肥大や外後頭隆起の突出といった特定の性的二形性が、時間とともに顕著になってきていることが示された。
この結果から研究グループは、「環境、栄養、および生活様式要因の変化の影響を受け、過去1世紀の間にヒトの頭蓋骨が著しい変化を遂げてきたことを示している。また、法医学および考古学の双方において、身元不明の骨格遺体の性別判定の精度向上に寄与する可能性がある」と示唆している。
(ケアネット 稲川 進)