COVID-19患者の同居家族、エンシトレルビルで発症予防/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2026/05/22

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状発現後72時間以内に、患者の同居家族に対してエンシトレルビルを投与することにより、接触者のCOVID-19発症を抑制できることが示された。米国・バージニア大学のFrederick G. Hayden氏らSCORPIO-PEP(Stopping Covid-19 Progression with Early Protease Inhibitor Treatment for Post-Exposure Prophylaxis) Study Teamが、日本を含む5ヵ国共同で行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験「第III相SCORPIO-PEP試験」の結果を報告した。エンシトレルビルは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)3CLプロテアーゼの経口阻害薬であり、本邦においては軽症~中等症COVID-19の治療薬として承認されている。これまで、COVID-19患者の同居家族に対する曝露後予防薬として承認された抗ウイルス薬はなかった。NEJM誌2026年5月14・21日合併号掲載の報告。

COVID-19発症後72時間以内に、家庭内接触者を無作為化

 研究グループは、COVID-19患者(指標患者)の同居家族で試験実施機関においてSARS-CoV-2陰性が確認された12歳以上の家庭内接触者を、指標患者の症状発現後72時間以内にエンシトレルビル(1日目に375mg、2~5日目に125mgを1日1回経口投与)群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。

 主要エンドポイントは、修正ITT集団(mITT集団:無作為化され、中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2のRT-PCR検査が陰性、かつ試験薬を少なくとも1回投与されたすべての参加者)における、試験薬投与後10日以内のCOVID-19発症(中央検査機関でRT-PCR検査が陽性、かつ事前に規定された14のCOVID-19の症状のうち少なくとも1つが48時間以上持続と定義)とした。

エンシトレルビル群はプラセボ群と比較しCOVID-19発症リスク67%減

 試験は、2023年6月~2024年9月中旬に、米国、アルゼンチン、日本、南アフリカ共和国、ベトナムで行われた。

 計2,387例の家庭内接触者が無作為化され(エンシトレルビル群1,194例、プラセボ群1,193例)、このうち中央検査機関においてベースラインでSARS-CoV-2陰性が確認されたエンシトレルビル群1,030例、プラセボ群1,011例が有効性解析対象集団(mITT集団)となった。

 試験参加者の平均年齢は42.4歳で、71.1%は指標患者の症状発現後48時間以内に無作為化され、37.0%は重症COVID-19の危険因子(肥満、喫煙、65歳以上など)を少なくとも1つ有していた。

 mITT集団における10日目までのCOVID-19発症率は、エンシトレルビル群2.9%、プラセボ群9.0%であり、エンシトレルビル群で有意に低かった(リスク比:0.33、95%信頼区間:0.22~0.49、p<0.001)。

 試験中の有害事象の発現割合は両群で類似しており(エンシトレルビル群15.1%、プラセボ群15.5%)、主な有害事象は頭痛、下痢、鼻咽頭炎、咳、疲労、およびインフルエンザであった。重篤な有害事象の発現割合も同じで(各群0.2%)、COVID-19に関連する入院や死亡は報告されなかった。

 なお、著者らは、家庭内感染の可能性には世帯の規模、マスク着用習慣、社会的距離の確保など複数の要因が影響する可能性があるが、これらのデータを収集できなかった点で結果は限定的だとしている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)