持続性心房細動の初期治療として、非熱性アブレーション技術を用いたパルスフィールドアブレーション(PFA)を受けた患者は、抗不整脈薬療法を受けた患者と比較して、心房性不整脈の再発リスクが有意に低く、重篤な有害事象のリスクは同程度であることが示された。米国・クリーブランドクリニックのOussama M. Wazni氏らAVANT GUARD Study Investigatorsが「AVANT GUARD試験」の結果を報告した。持続性心房細動患者では、著しい電気的、構造的なリモデリングが高頻度に発生するため、発作性心房細動患者に比べて従来の熱性アブレーションの治療成績が劣る傾向にあった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年4月25日号に掲載された。
国際的な無作為化対照比較試験
AVANT GUARD試験は、国際的な無作為化対照比較試験であり、2023年12月~2025年2月に、年齢18歳以上で症候性の持続性心房細動(持続期間:7~365日)と診断された未治療の患者310例(無作為化の対象)と、安全性のエンドポイントの評価に限定してPFAを受ける患者100例を登録した(Boston Scientificの助成を受けた)。
被験者を、先端が5本の枝(電極)に分かれたカテーテル(pentaspline catheter)を用いたPFAを受ける群(207例)または抗不整脈薬療法を受ける群(103例)に無作為に割り付けた。心拍を継続的に監視するために、すべての患者に植込み型心臓モニターを埋設した。
有効性の主要エンドポイントは、12ヵ月時点での治療の成功(短期的成功と長期的成功から成る)であった。短期的成功は、PFA群では手技の成功、抗不整脈薬群ではブランキング期間(治療開始から90日)中のアブレーション非施行とした。長期的成功は、PFA群では治療開始後90日~12ヵ月の期間に、心房性不整脈の再発や再アブレーションがなく、抗不整脈薬の必要性を認めないこと、抗不整脈薬群ではどの時点でもアミオダロン使用の必要性が生じないこととした。
安全性の主要エンドポイントは、デバイスまたは手技関連の重篤な有害事象であった。
12ヵ月時の治療成功率、PFA群56%vs.抗不整脈薬群30%
PFA群の207例(平均[±SD]年齢68.1[±8.5]歳、女性31%)、抗不整脈薬群の102例(67.4[±8.7]歳、25%)、安全性PFA群の78例(67.2[±9.6]歳、29%)を解析の対象とした。PFAの平均施術時間は85(±32)分、左房における平均カテーテル操作時間は51(±20)分(20分の待機時間を含む)であった。
12ヵ月時点での治療成功は、PFA群では207例中128例(Kaplan-Meier推定値:56%、95%信頼区間[CI]:48~63)で達成され、抗不整脈薬群の103例中40例(30%、95%CI:21~40)に対し有意に優れた(ハザード比[HR]:0.46、95%CI:0.33~0.65、p<0.001)。
1年後の心房性不整脈負担中央値は、PFA群が0.0%(四分位範囲[IQR]:0.0~0.4)、抗不整脈薬群は0.2%(IQR:0.0~4.5)であった(群間差中央値:-0.2%ポイント、IQR:-0.3~0.0)。
安全性の主要エンドポイント発生率は5.1%
PFA群(無作為化群と安全性群を合わせた患者)において、安全性の主要エンドポイントは257例中13例(5.1%)に発生した。この値は、事前に規定された安全性の性能目標(12%)を満たした。また、12ヵ月時点で、重篤な有害事象はPFA群の45例(25%)、抗不整脈薬群の20例(21%)に発現した。
6件の神経学的イベントが、手技関連の脳卒中の基準を満たすと判定された。また、すべての脳卒中関連イベントは、NIHSSの4点以下(軽度)であり、追跡調査により全例で臨床的改善または完全回復を確認した。
著者は、「これらの知見は、より進行した心房細動を有する患者集団の初期治療において、5本枝のPFAカテーテルを用いたアブレーションは、抗不整脈薬よりもリズムコントロールに有効な治療法であることを示すものである」としている。
(医学ライター 菅野 守)