カナダ・Queen's School of MedicineのVeronica Pentland氏らは、システマティックレビューおよび各国の人工関節レジストリデータのメタ解析を行い、最新の人工股関節全置換術の30年生存率、すなわち30年間再置換術を施行しない患者の割合は92%と推定されることを報告した。人工股関節の耐用年数を知ることは、患者、外科医、そして医療機関にとって重要である。過去20年間で、人工股関節における最新のベアリングの使用がインプラントの摩耗、さらには耐久性に大きな変化をもたらしているが、これら最新インプラントの耐用年数を検討した大規模な研究はこれまでなかった。著者は、「今回の結果は、ベアリングの摺動面技術の進歩により人工股関節の長期耐久性が大幅に向上していることを示しており、患者への説明、医療計画の策定および医療機器規則に影響を及ぼす可能性がある」とまとめている。Lancet誌2026年2月28日号掲載の報告。
臨床研究と8ヵ国のレジストリから人工股関節全置換術の30年生存率を推定
研究グループは、成人患者の初回人工股関節全置換術における最新のベアリング摺動面技術にのみ着目して評価を行った(高度架橋ポリエチレン[XLPE]vs.金属あるいは第3世代・第4世代セラミックヘッドおよびセラミック-on-セラミック)。
まず、MEDLINEおよびEmbaseを検索し、2024年6月13日までに発表された最低10年追跡しアウトカムを報告している論文を、固定法や手術アプローチにかかわらず特定した。次に、さまざまなベアリングの組み合わせにおけるあらゆる原因による再置換術を評価した8ヵ国の人工関節レジストリのデータを統合してメタ解析を行い、さらに、レジストリデータに基づく多変量ランダム効果モデルを用いて、抽出データを外挿し、30年までの生存率を推定した。
主要アウトカムは、初回人工股関節全置換術からあらゆる原因による初回再置換術までの期間(特定の時点における再置換されていないインプラントの割合)と定義した。
全体で92.1%の患者が30年間再置換を受けない
臨床研究29件(5,203例)および8ヵ国のレジストリ(189万9,034例)から、計190万4,237例の人工股関節全置換術を特定した。
29件の臨床研究の統合解析では、ランダム効果モデルを用いた全生存率は全体で0.97(95%信頼区間[CI]:0.96~0.98)であった。
ベアリングの材質別では、金属-on-XLPEが0.97(95%CI:0.95~0.98)、セラミック-on-XLPEが0.96(95%CI:0.93~0.98)、セラミック-on-セラミックが0.97(0.96~0.98)であった。全体として、すべてのベアリングタイプにおいて、15年生存率は94%を超えた。
レジストリデータの統合解析では、全生存率は20年時点で93.6%(95%CI:92.3~94.7)と推定された。
各ベアリング材質の10年、15年、および20年生存率推定値は、臨床研究の統合解析とレジストリの統合解析で一致していた。
これらのデータを外挿すると、全体で25年生存率は92.8%(95%CI:91.2~94.2)、30年生存率は92.1%(95%CI:90.1~93.7)と予測された。
(医学ライター 吉尾 幸恵)