疥癬へのイベルメクチン、外用薬に非劣性を示せず/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/20

 

 通常疥癬の治療において、経口イベルメクチンは5%permethrin クリームと比較して、臨床的治癒に関して非劣性を示せず、むしろ5%permethrin クリームが統計学的な優越性を有することが、フランス・Groupe Hospitalier PellegrinのFranck Boralevi氏らが実施した「SCRATCH試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2026年1月6日号に掲載された。

フランスのクラスター無作為化実薬対照非劣性試験

 SCRATCH試験は、フランスの28施設で実施した評価者盲検クラスター無作為化実薬対照非劣性試験(フランス保健省などの助成を受けた)。ダーモスコープで疥癬が確定された体重15kg超の成人および小児を対象とし、2016年1月~2021年12月にインデックス・ケースとして289例を登録した。

 これらの患者を、0および10日目に、イベルメクチン(200μg/kg)を食事とともに経口投与する群(142例[小児76例、成人66例]、年齢中央値15.9歳[四分位範囲:7.9~29.9]、女性46.5%)、または5%permethrin クリームを全身(頭部からつま先まで)に塗布する群(147例[85例、62例]、15.8歳[8.0~27.5]、50.3%)に無作為に割り付けた。

 クラスター(インデックス・ケースが所属する世帯)の構成員(世帯員)は、インデックス・ケースと同じ治療を受けた(例外として、体重<15kgの小児には5%permethrin クリームを処方)。

 イベルメクチン群に142世帯・507例(インデックス・ケースの142例を含む)、permethrin群に147世帯・568例(インデックス・ケースの147例を含む)を割り付けた。

 主要アウトカムは、28日目の時点におけるクラスターレベルの臨床的治癒率(インデックス・ケースを含む全構成員で疥癬の徴候および症状が消失したクラスターの割合)とした。副次アウトカムは、28日目の時点での個人レベルの臨床的治癒率および安全性などであった。

クラスターと個人の双方で劣った

 主要アウトカムは、イベルメクチン群が71.8%、permethrin群は88.5%(群間差:-16.7%ポイント、95%信頼区間[CI]:-26.3~-7.1)であった。

 治癒率の群間差の95%CI上限値が非劣性マージン(-10%)より小さくないため、イベルメクチン群のpermethrin群に対する非劣性は示されず、それゆえ優越性の評価は必要ないものの、95%CI上限値が0未満であることから、permethrin群の統計学的な優越性が示唆された。

 また、副次アウトカムの28日目の時点での個人レベルの臨床的治癒率については、インデックス・ケースのみ(イベルメクチン群76.6%vs.permethrin群91.5%、群間差:-14.9%ポイント、95%CI:-23.6~-6.2)およびクラスター全構成員(85.3%vs.94.2%、-9.2%ポイント、-14.9~-3.5)のいずれにおいても、イベルメクチン群が劣っていた。

治療の好みは良好

 参加者の治療の好み(薬剤受容性、使いやすさ)については、permethrin群よりもイベルメクチン群で良好だった(群間差:インデックス・ケース31.5%ポイント、クラスター全構成員23.2%ポイント)。

 重篤な有害事象が4件報告されたが、いずれも試験薬との関連はなかった。少なくとも1件の試験薬関連の可能性がある皮膚有害事象は、インデックス・ケースではイベルメクチン群で14例(9.9%)、permethrin群で20例(13.6%)に、クラスター全構成員ではそれぞれ8例(2.2%)および14例(3.3%)に発現した。

 著者は、「5%permethrin クリームの0および10日目の全身塗布は、通常疥癬の第1選択の治療法となる可能性がある」「5%permethrin クリームは、小児および若年成人で、ヒゼンダニ殺虫薬の塗布が可能な皮膚の状態の患者や、外用ヒゼンダニ殺虫薬の使用に同意する患者で、分子レベルでの耐性が報告されていない場合に推奨され、これ以外の状況、とくに外用薬の使用が現実的でない場合(例:介護施設、刑務所など)には、経口イベルメクチンの処方が可能と考えられる」としている。

(医学ライター 菅野 守)