発作性AFのアブレーション、パルスフィールドvs.クライオ/高周波バルーン/NEJM

発作性心房細動のカテーテル治療において、パルスフィールドアブレーション(PFA)は従来のサーマルアブレーション(高周波またはクライオバルーンアブレーション)に対して、1年時点の治療成功および重篤な有害事象に関して非劣性であることが示された。米国・マウントサイナイ医科大学のVivek Y. Reddy氏らが、無作為化単盲検非劣性試験「ADVENT試験」の結果を報告した。カテーテルによる肺静脈隔離術は、発作性心房細動の有効な治療法である。マイクロ秒の高電圧電界を送達するPFAは、心筋以外の組織の損傷を抑えることが可能であるが、従来のサーマルアブレーションと比較したPFAの有効性および安全性はこれまで不明であった。NEJM誌オンライン版2023年8月27日号掲載の報告。
治療抵抗性の発作性心房細動患者607例を対象
研究グループは、75歳以下で、1種類以上の抗不整脈薬に抵抗性の発作性心房細動患者を、PFA群または従来のサーマルアブレーション(高周波またはクライオバルーンアブレーション)群に、1対1の割合に無作為化に割り付けた。有効性の主要エンドポイントは、治療成功(以下がないこと:肺静脈隔離の初期手技失敗、3ヵ月のブランキング期間後に30秒以上持続する心房頻脈性不整脈、3ヵ月のブランキング期間後のクラスIまたはIIIの抗不整脈薬または電気的除細動の使用、アミオダロンの使用、再アブレーション)、安全性の主要エンドポイントは、7日以内のデバイスおよび手技関連の重篤な有害事象(左房食道瘻および肺静脈狭窄は発生時期を問わず含む)の複合とした。
2021年3月1日~2022年6月3日に、計706例が登録され、ロールイン症例80例(1施設1~3例)の治療完了後、626例が無作為に割り付けられた。このうち治療前に同意を撤回した患者を除く607例(PFA群305例、サーマルアブレーション群302例)が解析対象集団となった。
PFAは、有効性および安全性ともにサーマルアブレーションに対して非劣性
追跡期間1年時点で、主要有効性エンドポイントの達成は、PFA群204例(推定確率73.3%)、サーマルアブレーション群194例(71.3%)で、群間差は2.0ポイント(95%ベイズ信用区間:-5.2~9.2、非劣性の事後確率>0.999)であった。主要安全性エンドポイントのイベントは、PFA群で6例(推定発現率2.1%)、サーマルアブレーション群で4例(1.5%)に認められ、群間差は0.6ポイント(95%ベイズ信用区間:-1.5~2.8、非劣性の事後確率>0.999)であった。
(医学ライター 吉尾 幸恵)
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パルスフィールドアブレーションは心房細動治療のゲームチェンジャーになりうるか(解説:高月誠司氏)
コメンテーター : 高月 誠司( たかつき せいじ ) 氏
慶應義塾大学医学部循環器内科准教授
J-CLEAR推薦コメンテーター