米国でのオピオイド使用、ピーク時から依然減少せず?/BMJ

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/10

 

 米国において2007~16年のオピオイド使用率は高く、メディケアを受給している障害者が、高齢者および民間保険受給者と比較して最も高かった。オピオイド乱用の注意喚起や危険意識の高まりにもかかわらず、オピオイド使用率および平均1日使用量は、ピーク時からほとんど減少していないという。米国・メイヨー・クリニックのMolly Moore Jeffery氏らが、診療報酬請求データの後ろ向きコホート研究の結果を報告した。米国におけるオピオイドの使用は、ピーク時の2012年以来減少してきたことが人口データにより示唆されているが、メディケア出来高払い受給者を除いた大規模な集団における、オピオイド使用率および1日使用量は明らかにされていなかった。BMJ誌2018年8月1日号掲載の報告。

メディケア・アドバンテージ受給者ら4,800万人について調査
 研究グループは、米国の民間保険およびメディケア・アドバンテージ受給者の医療費および薬剤費請求のデータベースを用い、2007年1月1日~2016年12月31日の期間に保険受給資格のあった、民間保険受給者、65歳以上のメディケア・アドバンテージ受給者、65歳未満のメディケア・アドバンテージ受給者(身体障害者が該当)、計4,800万人を対象に、後ろ向きコホート研究を実施した。

 主要評価項目は、オピオイドが処方された受給者の四半期ごとの割合、平均1日オピオイド使用量(milligram morphine equivalents:MME)などで、ロジスティック回帰モデルと一般化線形モデルを用いて解析した。

オピオイド使用率、平均1日オピオイド使用量は減少せず
 全研究期間中における年間オピオイド使用率は、民間保険受給者で14%、高齢者メディケア受給者で26%、障害者メディケア受給者で52%であった。

 民間保険受給者では、四半期ごとにみたオピオイド使用率に変化はほとんどなく、研究開始時と終了時はいずれも6%であった。平均1日使用量は2011年以降17 MMEで変わらないままであった。高齢者メディケア受給者も同様で、四半期ごとにみた使用率は比較的安定して推移し、研究開始時11%、終了時14%であった。

 一方、障害者メディケア受給者はオピオイド使用率および長期使用率が最も高く、平均1日使用量も最大であった。また、四半期ごとにみた使用率と平均1日使用量にはいずれも上昇が認められ、研究開始年の2007年が最低値でそれぞれ26%、53 MME、終了時の2016年末時点では39%、56 MMEであった。

 なお、著者は研究の限界として、保険未加入者、メディケア出来高払い受給者、メディケア単独受給者などを対象に含めていないこと、慢性疼痛の割合や慢性疼痛の治療でオピオイドを使用している患者の割合については報告できていないことなどを挙げている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)