適量のコーヒーで心不全や脳卒中リスクが低下~AHAステートメント

提供元:ケアネット

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公開日:2026/07/30

 

 カフェインは世界で最も広く消費されている嗜好薬物の1つであるものの、心血管系に対する詳細なリスクや有効性については、摂取形態や個人差による影響を含めて整理が必要とされてきた。米国心臓協会(AHA)専門委員会のGregory M. Marcus氏(カリフォルニア大学サンフランシスコ校)らは、カフェインおよびコーヒー摂取が心血管系に及ぼす影響に関する最新の科学的ステートメントを発表した。習慣的な適量摂取(カフェイン最大400mg/日、8オンスカップ[約240mL]でコーヒー3~5杯/日)は多くの成人において安全であり、冠動脈疾患、心不全、脳卒中、心房細動、2型糖尿病などのリスク低下と関連していることが示された。Circulation誌オンライン版2026年7月20日号に掲載。

 本ステートメントでは、カフェインおよび主にコーヒーを中心としたこれまでの観察研究、遺伝学的研究(メンデルランダム化解析)、およびランダム化比較試験(RCT)のエビデンスを包括的に評価した。カフェインの代謝には個人の遺伝的背景や耐性が大きく関与することや、急性摂取と習慣的摂取での作用の違い、コーヒーに含まれる非カフェイン成分(ポリフェノールなど)の寄与についても考察がなされた。

 主な結果は以下のとおり。

・血圧・糖尿病:習慣的なコーヒー摂取は血圧に対して逆J字型の関連を示し、1日1~3杯の摂取でリスクが増加するものの、摂取量が増えるとリスクが減少する傾向があることが示された。また、習慣的なコーヒー摂取は2型糖尿病の発症リスク低下と一貫して関連していた。
・脂質代謝:カフェイン自体は血清コレステロールに影響を与えないが、フレンチプレス、ギリシャ/トルココーヒーなどの「未濾過コーヒー」に含まれるカフェストールはLDLコレステロール値を上昇させるため注意が必要である。
・不整脈:カフェイン入りコーヒーの習慣的摂取は心房細動(AF)のリスクを低下させることがRCTなどで実証された一方、心室期外収縮(PVC)の頻度を増加させることが示された。
・心血管疾患・脳卒中:軽度(1.5杯/日)~中等度(3.5杯/日)のコーヒー摂取は冠動脈疾患リスクを約10%低下させた。心不全リスク(4杯程度/日で最も低値)や脳卒中リスク(3~4杯/日で最も低値)の低下と関連していた。
・高用量カフェインのリスク:エナジードリンクや純粋なカフェインサプリメントなどの高用量摂取は、血圧の上昇や重篤な不整脈など心血管へ害を及ぼす可能性が高い。

 著者らは、習慣的な適量のコーヒー摂取は健康的なライフスタイルの一部となり得ると結論付けている。ただし、観察された健康上の利益の多くはカフェイン単体ではなくコーヒーに含まれる抗酸化物質などに起因する可能性があり、多量の砂糖やシロップ、高カロリーな乳製品の添加はこれらのメリットを相殺する可能性があると注意を促している。今後は、ポリフェノールなどの他の成分と切り離して、カフェイン単体の影響や個人差に応じた反応を解明するさらなるRCTが必要であると述べている。

(ケアネット 古賀 公子)