イランにおけるメンタルヘルスの問題の深刻化と独特な飲用習慣を踏まえ、イラン・テヘラン医科大学のMohammad Matin Mahjourian氏らは、紅茶やコーヒーの摂取と抑うつ・不安症状との関連を明らかにするため研究を実施した。Scientific Reports誌オンライン版2026年5月31日号の報告。
本横断研究では、2018年2月〜2019年7月、イランの主要5都市において層化多段階クラスターサンプリング法を用いて対象成人1,994人を募集した。紅茶とコーヒーの摂取量は、自己申告による1日または1週間の摂取量に基づいて評価した。紅茶については3つのカテゴリーに分類、コーヒーについては摂取者と非摂取者に分類した。抑うつ・不安症状の評価には、イランで妥当性が検証された病院不安・抑うつ尺度(HADS)を用いた。二項ロジスティック回帰モデルを用いて、HADSで定義された抑うつ・不安症状のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を推定した。バイアスを最小限に抑えるため、主な交絡因子について段階的に調整を行った。
主な結果は以下のとおり。
・紅茶の摂取と、抑うつ症状または不安症状との間には、調整前モデルおよび調整後モデルのいずれにおいても有意な関連は認められなかった(傾向検定p>0.05)。
・コーヒーの摂取に関しては、調整前解析では、コーヒー摂取者(1日1杯以上)は、非摂取者(1日1杯未満)と比較し、抑うつ症状(OR:0.60、95%CI:0.43〜0.84、p=0.003)および不安症状(OR:0.73、95%CI:0.54〜0.99、p=0.045)のリスクが低いことが示唆された。
・しかし、潜在的な交絡因子を調整すると、この関連は弱まった。
・完全調整モデルでは、コーヒー摂取は、抑うつ症状のリスクを低下させる傾向が認められたが(OR:0.70、95%CI:0.49〜1.01、p=0.057)、不安症状との関連は認められなかった。
著者らは「紅茶の摂取と抑うつ症状や不安症状との関連は認められなかったが、コーヒーの摂取は抑うつ症状を軽減する傾向が示唆された。今回の結果を裏付けるためにも、プロスペクティブコホート研究が求められる」としている。
(鷹野 敦夫)