心不全の予後予測に有用、フレイル指標FI-labとCFSの併用評価

提供元:ケアネット

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公開日:2026/02/09

 

 名古屋大学医学部附属病院循環器内科の水野 智章氏、平岩 宏章氏の研究グループは、急性心不全(HF)患者の血液検査に基づく新たなフレイル指標(Frailty Index based on laboratory tests:FI-lab)が、「退院後1年の予後予測に有用であること」「臨床フレイルスケール(Clinical Frailty Scale:CFS)と独立した予後予測因子であること」「FI-labとCFSを組み合わせることで、急性HFの予後層別化が可能になること」を明らかにした。Journal of the American Heart Association誌2025年12月16日号掲載の報告。

 近年、高齢HF患者におけるフレイルの合併が死亡率や心不全再入院に強く関与している背景があり、患者一人ひとりのフレイル重症度の把握は心不全の予後予測として非常に重要である。一般的なフレイルの評価方法として、現在はCFS*1が用いられているが、血液検査結果を用いた新たな指標としてFI-lab*2の有用性が示唆されている。
*1:日常生活動作などの機能の評価に基づき、フレイル度を1~9の9段階で評価(9が最重症)。4点以下は自立可能、5点以上は介護を要し、自立困難と判断される(主観的評価)
*2:血液検査結果のうち基準範囲外となった項目の割合を示し、0から1の間の値として算出。値が大きいほど重症のフレイルと評価(客観的指標)


 そこで、本研究者らはPOPEYE-AHF registry*3に登録された患者のFI-labおよびCFSを調査し、予後との関連を明らかにするために事後解析を実施。退院患者975例のFI-labデータと637例のCFSデータを利用した。なお、FI-labは退院時に実施した21項目の血液検査所見のうち、異常値を示した項目数の割合を用いて算出した。主要評価項目は全死亡、HF入院、両者の複合であった。
*3:HFにおける急性期薬物治療の実態と予後に関する多施設共同前向き観察研究

 主な結果は以下のとおり。

・ベースラインの年齢中央値は80歳、FI-labデータのある患者の45%が女性であった。
・FI-labの中央値は0.48、CFSの中央値は4であった。
・FI-lab高値グループは、高齢、BMI低値、心不全の重症度(NYHA分類)が高く、心不全入院歴が多い傾向であった。
・多変量Cox比例ハザード回帰分析の結果、測定されたFI-labは、完全調整後もいずれのアウトカムとも関連しており、全死亡のハザード比[HR]は1.38(95%信頼区間[CI]:1.15~1.67、p=0.001)、心不全再入院は1.15(95%CI:1.00~1.32、p=0.044)、複合アウトカムは1.21(95%CI:1.08~1.37、p=0.002)であった。
・また、FI-lab低値/高値とCFSの低値/高値をそれぞれ組み合わせ、4群に分けてCoxハザード解析を実施した結果、FI-lab高値/CFS高値群は、全死亡と関連していた(HR:2.62、[95%CI:1.38~4.99、p=0.003])。ただし、心不全再入院および複合アウトカムについては有意差を認めなかった。

 研究者らは「主観的指標のCFSと、計算の自動化も可能な客観的指標のFI-labの2つを組み合わせることで、個々の患者に応じた介入が行いやすくなる可能性がある。とくに高リスクの患者に対しては、(1)外来フォロー間隔を短くする、(2)体重や症状変化のセルフモニタリングをより丁寧に指導する、(3)多職種による介入(リハビリ、栄養指導など)を早期に検討するといった対応につなげる補助的な情報、ツールとして活用できると考えている」とし、「ただし、FI-labを用いた心不全患者のフレイル評価に関する報告はまだ少ないため、今後さらなる研究が期待される」と結んだ。

(ケアネット 土井 舞子)