腹囲の大きさは、フレイルの進行に何らかの影響を与えるのであろうか。この課題について大阪公立大学研究推進機構都市健康・スポーツ研究センター教授の横山 久代氏は、スマートフォン(スマホ)の健康アプリを用いたウェブ調査を行った。その結果、腹部肥満は将来のフレイルに関係する可能性があることが示唆された。この結果はGeriatrics誌2025年11月8日号に掲載された。
自覚、運動習慣、前フレイルがフレイルの予測因子になる可能性
フレイルリスクの高い人を特定し、適切な介入を実施することは、健康寿命の延伸に極めて重要である。本研究は、後ろ向きコホート研究として、大阪府在住の30~79歳の成人2,962人を対象に、腹部肥満が1年間のフレイル進行を予測するかどうかを検討した。横山氏は、2023~24年にわたりスマホの健康アプリを通じ年次調査を行い、ウエスト周囲径データが利用可能な2,962人(平均年齢62.7±8.8歳)からデータを収集した。フレイルは基本チェックリストを用いて評価した。フレイル進行の予測因子を特定するためロジスティック回帰分析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時(2023年)において、参加者の23%が腹部肥満を有し、18%がフレイルと分類された。
・ベースライン時に非フレイルだった2,431人において、1年後のフレイル発生率は、腹部肥満群で非肥満群より有意に高かった(10.5%vs.7.2%、p=0.011)。
・多変量ロジスティック回帰分析では、フレイルの自覚(「よく知っている」対「知らない」、調整オッズ比[aOR]=0.341、95%信頼区間[CI]:0.212~0.548)、定期的な運動習慣(aOR=0.596、95%CI:0.382~0.930)、および前フレイル状態(aOR=1.767、95%CI:1.602~1.950)がフレイル発症の有意な予測因子であった。
・腹部肥満は調整後、フレイル進行と独立した関連性を示さなかった。
これらの結果から横山氏は「粗解析では腹部肥満がフレイル発症と関連していたが、調整後は有意でなくなった。フレイルへの認識向上と定期的な運動はフレイル発症リスクを低減させる可能性があり、生活習慣指導や啓発活動が腹部肥満によるフレイル進行への影響を緩和する可能性を示唆している」と述べている。
(ケアネット 稲川 進)