高齢者の健康関連QOL低下の最も強い予測因子は?/名古屋大学

提供元:ケアネット

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公開日:2026/01/23

 

 最大12年間にわたり縦断的に収集された日本の地域在住高齢者データを用いて健康関連QOLの長期的な変化パターンとその予測因子を調査した結果、一部の健康関連QOLは一律に低下するのではなく、維持する群と急速に低下する群に分かれ、その分岐を最も強く予測していたのは睡眠の質の悪化であったことを、名古屋大学の大島 涼賀氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2025年12月7日号掲載の報告。

 主観的な身体・精神・社会的健康を包括的に評価する健康関連QOLは将来の死亡率や心血管疾患の発症などと関連することが報告されている。そのため、健康関連QOLは高齢者の健康状態を早期に捉えるうえで有用な指標となり得るが、これまでの研究は単一時点の評価が中心であり、時間経過による変化やその要因については十分に明らかにはなっていなかった。そこで研究グループは、2007~18年の「岩木健康増進プロジェクト健診」のデータを解析し、国際的な健康関連QOL指標であるSF-36下位尺度をもとに加齢に伴う身体的・精神的なQOLの変化を分析する縦断研究を実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析には、2007~18年の岩木健康増進プロジェクト健診に参加した60歳以上の910人のデータを用いた。女性が588人(64.6%)で、年齢中央値は男女ともに64.0歳であった。
・潜在クラス混合モデルで解析した結果、身体的役割機能と精神的役割機能は年齢とともに一律に低下するわけではなく、ベースライン時のスコアが同様に高値であっても維持する群と急速に低下する群に分かれた。
・身体的役割機能と精神的役割機能の低下に共通する最も一貫して関連していた予測因子は睡眠の質の悪化であった。
・身体的役割機能低下のその他の予測因子は、週1回以上の運動習慣がない、開眼片足立ちテストの成績不良であった。
・精神的役割機能低下のその他の予測因子は、抑うつ傾向、過体重/肥満であった。
・就寝時刻・入眠時刻・起床時刻などの睡眠習慣は、健康関連QOLと関連しなかった。

 研究グループは「われわれの知る限り、本研究は日本の地域在住高齢者を対象とした健康関連QOLの長期的な変化とその予測因子を明らかにした初の報告である。日常生活機能に関連する健康関連QOLを維持するためには、日中の眠気を予防するために睡眠の質を向上させることが重要である」とまとめた。

(ケアネット 森)