今年1月に行われた米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2026)で発表されたHERIZON-GEA-01試験では、HER2陽性局所進行または転移のある胃食道腺がん1次治療において、化学療法に二重HER2標的抗体zanidatamabと抗PD-1抗体チスレリズマブを追加することで、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の改善が示された。5月29日~6月2日に行われた米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO 2026)では、韓国・延世がんセンターのSun Young Rha氏が、本試験におけるPD-L1サブグループの解析結果を報告した。
・試験デザイン:国際共同非盲検第III相試験
・対象:未治療のHER2陽性進行・転移胃食道腺がん患者
・試験群:zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法(CAPOXまたはFP)
zanidatamab+化学療法
・対照群:トラスツズマブ+化学療法(トラスツズマブ群)
・評価項目:
[主要評価項目]PFSおよびOS
[副次評価項目]奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など
PD-L1発現の評価指標にはTAPスコアおよびCPSが用いられた。
既報の主要解析では、追跡期間中央値26ヵ月時点で、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群はトラスツズマブ群と比較してPFSを有意に延長し(HR:0.63)、OSについても有意な改善が認められた(HR:0.72)。
主な結果は以下のとおり。
・PD-L1発現レベル(TAPおよびCPS)別のPFS中央値は以下のとおりで、PD-L1の発現状況にかかわらず一貫して改善が認められた。
・TAP<1%:zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群18.5ヵ月vs.トラスツズマブ群7.9ヵ月(HR:0.47)
・TAP≧1%:同11.3ヵ月vs.8.3ヵ月(HR:0.65)
・CPS<1:同18.5ヵ月vs.8.1ヵ月(HR:0.48)
・CPS≧1:同12.3ヵ月vs.8.2ヵ月(HR:0.62)
・zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群において、TAP<1%およびTAP≧1%における18ヵ月PFS率はそれぞれ50.3%および42.6%、24ヵ月OS率は63.7%および53.5%であった。
・一方、トラスツズマブ+化学療法群ではPD-L1陽性例のほうが陰性例よりOSが良好であった。研究グループはその要因として後治療の違いを挙げており、トラスツズマブ群では免疫チェックポイント阻害薬が15%、HER2標的治療が29%に施行されたのに対し、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群ではそれぞれ2%、13%であった。
・Grade3以上の治療関連有害事象(TRAE)は、トラスツズマブ群で59.6%、zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法群で71.8%に認められた。主な有害事象として下痢が認められたがGrade3以上の発現率は低く、新たな安全性シグナルは確認されなかった。
Rha氏らは、「zanidatamab+チスレリズマブ+化学療法は、TAPおよびCPSで評価したPD-L1陽性例・陰性例の双方において、臨床的に意義のあるPFSおよびOSの改善を示した」と結論付けた。HER2陽性進行胃食道腺がんに対する本レジメンの有効性はPD-L1発現に依存せず認められ、新たな1次治療標準となる可能性が示された。
(ケアネット 杉崎 真名)