アルツハイマー病(AD)では、治療・ケア方針の決定において早期診断が極めて重要となるが、日本における診断までの実際の経過は明らかではなかった。新潟大学の春日 健作氏らは、日本国内の複数施設を対象に、症状出現からAD診断に至るまでの期間とその過程で最も時間を要する段階を明らかにする後ろ向き観察研究を実施した。本試験の結果はAlzheimer's & Dementia誌オンライン版2025年12月25日号に掲載された。
本研究には、2011年4月~2023年3月に「ADによる軽度認知障害(MCI)」または「AD型認知症」と診断された18~79歳の患者138例が含まれた。発症年齢65歳未満を若年発症AD、65歳以上を高齢発症ADと定義し、初診日で1対1にマッチングした上で解析した。
主な結果は以下のとおり。
・平均発症年齢±標準偏差は62.8±9.3歳、女性が62%(85例)、69%(95例)がかかりつけ医を有し、62%(86例)が症状出現時点で何らかの併存疾患の治療を受けていた。
・症状出現からAD診断までの平均期間は121.8±88.9週(約2.2年)であった。内訳を見ると、最も長かったのは「症状出現から最初の医療機関受診まで」の期間で、77.0±74.4週と全体の大半を占めていた。
・一方で、初診から認知症専門医への紹介までは34.9±49.2週、専門医受診から診断確定までは10.5±18.8週と比較的短期間であった。
研究者らは「これらの結果は、日本におけるAD診断遅延の最大のボトルネックが、医療機関受診以前の段階、すなわち患者本人や家族が症状を認知してから受診行動に至るまでの期間にあることを示している。早期診断が新規治療や適切な介入につながる時代において、一般市民や非専門医に対する啓発、初期症状への気付きを促す仕組みづくりが、診断までの時間短縮に不可欠であることが改めて示唆された」とした。
(ケアネット 杉崎 真名)