高齢者で多くみられる認知症は、公衆衛生上の優先事項である。しかし、認知症に対するワクチン接種の有用性については、十分に解明されていない。イタリア・National Research CouncilのStefania Maggi氏らは、一般的な成人向けのワクチン接種が認知症リスク低減と関連しているかを評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Age and Ageing誌2025年10月30日号の報告。
2025年1月1日までに公表された研究をPubMed、Embase、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。対象研究は、50歳以上の成人において、ワクチン接種を受けた人と受けていない人の間で認知症および軽度認知障害(MCI)の発症率を比較した観察研究とした。4人の独立したレビュアーがデータを抽出し、ニューカッスル・オタワ尺度を用いて研究の質を評価した。リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。主要アウトカムは、認知症(そのサブタイプを含む)の発症率とした。
主な結果は以下のとおり。
・分析対象研究は21件(参加者:1億403万1,186例)。
・帯状疱疹ワクチン接種は、すべての認知症(RR:0.76、95%CI:0.69~0.83)およびアルツハイマー病(RR:0.53、95%CI:0.44~0.64)のリスク低下と関連していた。
・インフルエンザワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連しており(RR:0.87、95%CI:0.77~0.99)、肺炎球菌ワクチン接種もアルツハイマー病リスクの低下と関連していた(RR:0.64、95%CI:0.47~0.87)。
・破傷風、ジフテリア、百日咳の三種混合ワクチン接種も、認知症発症リスクの有意な低下と関連していた(RR:0.67、95%CI:0.54~0.83)。
著者らは「成人に対するワクチン接種、とくに帯状疱疹、インフルエンザ、肺炎球菌、三種混合のワクチン接種は、認知症リスクの低下と関連している。認知症予防のための公衆衛生施策に、ワクチン接種戦略を組み込むべきである」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)