コーヒーに認知症予防効果を期待してよいのか

提供元:ケアネット

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公開日:2025/07/29

 

 コーヒーおよびカフェインの摂取が高齢者の認知機能に及ぼす影響について、中国・Inner Mongolia Medical UniversityのJinrui Li氏らは、とくにアルカリホスファターゼ(ALP)の潜在的な役割に焦点を当て、調査を行った。Nutrition Journal誌2025年7月1日号の報告。

 2011〜14年の米国国民健康栄養調査(NHANES)データより抽出した60歳以上の2,254人を対象に分析を行った。認知機能の評価には、老人斑の病理診断のCERADテスト、言語の流暢性を評価するAnimal Fluency test、神経心理検査であるDSSTを用いた。コーヒー摂取、カフェイン摂取、ALPレベルと認知機能との関連を明らかにするため、メンデルランダム化(MR)、タンパク質量的形質遺伝子座解析、タンパク質間相互作用ネットワークなどの手法を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・コーヒー摂取と認知機能に関する重要な知見が明らかとなった。
・コーヒーを480g/日以上飲む人は、飲まない人と比較し、低CERADスコアのオッズが有意に低く、完全調整モデル4による調整オッズ比(OR)は0.58(95%信頼区間[CI]:0.41〜0.82)であった。
・同様に、カフェイン入りのコーヒーを477.9g/日飲む人のORは0.56(95%CI:0.34〜0.92)。
・ALP摂取量の最低四分位と最高四分位の比較では、ORは1.82(95%CI:1.16〜2.85)であり、認知機能との負の相関が認められた。
・MR研究では、コーヒー摂取量の増加は、認知機能障害の進行と関連していることが示唆された。しかし、コーヒー摂取はレビー小体型認知症の発症を予防する可能性が示された(OR:0.2365、95%CI:0.0582〜0.9610)。
・コーヒー/カフェインの摂取は、血清ALP(OR:0.86、95%CI:0.79〜0.93)および認知機能(OR:0.95、95%CI:0.92〜0.98)に対する予防的作用が認められた。
・IGFLR1遺伝子は、ALPと中程度の共局在を示しており、潜在的な治療的意義が認められた。

 著者らは「高齢者におけるコーヒー/カフェインの摂取と認知機能との間には正の相関があり、ALPがこの関連に関与している可能性が示唆された。これらの結果は、高齢者の認知機能維持において食事介入を考慮することの重要性を表しており、具体的なメカニズムを明らかにするためにも、さらなる研究の必要性が示された」と結論付けている。

(鷹野 敦夫)

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