経カテーテル的大動脈弁植込み術(TAVI)による弁展開直後や追加手技後に弁尖の一部または複数が可動不良となり、重度の急性大動脈弁閉鎖不全を呈する事象(frozen leaflet/stuck leaflet)が複数報告されていることから、経カテーテル的心臓弁治療関連学会協議会(THT)は12月11日付で医療安全情報ステートメントを公表した。
Frozen leaflet発生時には、重度の急性大動脈閉鎖不全が生じ、急速な血行動態悪化を認めることがあるが、まれな事象であることから診断に至りにくく死亡例も報告されているという。ほかにもECMOの使用を要する例も報告されており、3例中2例が死亡に至っている。また、追加治療として施行されたTAV-in-TAVにより冠動脈閉塞を来し死亡した例や自己拡張型においても報告があり、いずれの製品においても注意が必要であることから、本ステートメントではハートチームに向けて以下のような留意点が示された。
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1.発生要因:未解明ですが、サピエン弁(エドワーズ製)においては84%がpost balloon後に発生しており、関連が示唆されています。
2.診断の難しさ:TAVI弁留置後の血行動態不安定化や重度逆流を認めた際には、frozen leafletを鑑別に含める必要があります。
3.治療選択肢:TAV-in-TAVが第1選択となりますが、冠動脈閉塞リスクを伴うため、冠動脈プロテクションの併用を検討してください。
4.緊急手術:速やかな開胸移行は重要な救命手段の一つであり、外科チームによる緊急手術体制の整備を行ってください。
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なお、本ステートメントではサピエン弁における現時点での集計概要も公表されている。
・対象機種:SAPIEN 3 Ultra RESILIA
・集計期間:2023年3月〜2025年2月
・症例数:25例
・発生頻度:約0.1%
<患者背景>
・平均年齢:83.0歳(71〜92)
・性別:男性4例(16.0%)、女性21例(84.0%)
<デバイスサイズ>
・20mm:6例(24.0%)
・23mm:15例(60.0%)
・26mm:3例(12.0%)
・29mm:1例(4.0%)
<発症タイミング>
・留置直後:4例(16.0%)
・Post balloon後:21例(84.0%)
<その後の対応>
・TAV-in-TAV:25例(100%)
└左冠動脈プロテクション併用:2例
・開胸手術移行:2例(8.0%)
└いずれもCABGを施行
・ECMO使用:3例(12.0%)
・死亡例:3例(12.0%)
(ケアネット 土井 舞子)