獨協医科大学の鈴木 紫布氏らは、日本の実臨床におけるフレマネズマブの2年間にわたる長期的な有効性と忍容性を明らかにするため、レトロスペクティブ観察単施設コホート研究を実施した。Neurological Research and Practice誌2025年6月3日号の報告。
対象は、フレマネズマブ治療を行った反復性片頭痛(EM)または慢性片頭痛(CM)患者165例。主要エンドポイントは、ベースラインから1〜24ヵ月までの1ヵ月当たりの片頭痛日数(MMD)の変化量とした。副次的エンドポイントは、片頭痛評価尺度(MIDAS)スコアの変化量、有害事象、治療反応率、治療反応予測因子、治療継続率。
主な結果は以下のとおり。
・コホート全体におけるベースラインからのMMDスコアの変化量は、3ヵ月で−7.2±4.7日、6ヵ月で−8.1±6.3日、12ヵ月で−8.4±5.1日、24ヵ月で−9.6±6.0日であった(p<0.001)。
・50%以上の治療反応率は、3ヵ月で57.0%、6ヵ月で63.6%、12ヵ月で63.5%、24ヵ月で69.0%。
・全体、EM群、CM群のいずれにおいても、MIDASスコアの有意な低下が認められた。
・月1回投与群と四半期ごとの投与群との間に、有効性の有意な差は認められなかった。
・有害事象は13.3%の患者で発現(主に注射部位反応)、副作用のために治療を中止した患者は2.4%であった。
・治療反応不十分患者、早期治療反応患者、超遅発的治療反応患者との間で、精神疾患合併、薬物乱用性頭痛、脈動性頭痛などの臨床背景の違いが認められた。
・治療継続率は12ヵ月で73.5%、18ヵ月で65.4%、24ヵ月で58.0%であり、四半期ごとの投与群のほうが月1回投与群よりも治療継続率が高かった(p<0.001)。
著者らは「日本の実臨床において、フレマネズマブは、長期的な片頭痛予防に有効であり、忍容性も良好である」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)