へき地の在宅医療の利用実態が判明/頴田病院・横浜市立大

提供元:ケアネット

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公開日:2025/11/21

 

 わが国では、急激な高齢化と地方での医療者の不足により医療の地域偏在が問題となって久しい。では、実際にこの偏在、とくに在宅医療の利用について、地域格差はどの程度あるのであろうか。この問題について、柴田 真志氏(頴田病院)と金子 惇氏(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科)の研究グループは、レセプトデータを用いて、在宅医療利用の地域格差を調査した。その結果、日本全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在することがわかった。この結果は、Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2025年10月30日号で公開された。

 研究グループは、2019~20年度のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)から全国335の二次医療圏の在宅医療利用の実態を分析した。分析では、「訪問診療、緊急往診、死亡診断書、終末期ケア」の4指標を設定し、年齢・性別を調整した標準化レセプト出現比(SCR)を算出し、「へき地度」を表す尺度である「Rurality Index for Japan」(RIJ)との相関を分析した。

 主な結果は以下のとおり。

・SCRの最大値と最小値の比率は、訪問診療で82.0、緊急往診で210.3、死亡診断書で33.2、終末期ケアで29.5と顕著な地域格差が確認された。
・SCRとRIJのスピアマンの順位相関係数は、訪問診療で-0.619、緊急往診で-0.518、死亡診断書で0.225、終末期ケアで-0.541だった(すべてp<0.001)。

 研究グループは、この結果から「全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在し、へき地ほどほとんどのサービス利用率が低い。これらの結果は、地理的障壁が在宅医療へのアクセスに重大な影響を与えることを示唆し、RIJがこうした医療格差を特定・是正する有効な指標として有用であることを示している。わが国のへき地における在宅医療への公平なアクセス改善に向け、対象を絞った政策介入の指針となる」と結論付けている。

(ケアネット 稲川 進)