統合失調症患者の早期死亡リスクに対する性差の影響は、不明である。カナダ・オタワ大学のMarco Solmi氏らは、統合失調症患者と性別で層別化した複数の対照群を比較し、すべての原因による死亡リスクおよび特定の死因での死亡リスクの違いを評価した。European Neuropsychopharmacology誌2025年2月号の報告。
統合失調症患者の死亡相対リスク(RR)を性別で比較するため、PRISMA 2020ガイドラインに従い、システマティックレビューおよびランダム効果メタ解析を実施した。出版バイアスの評価には、ニューカッスル・オタワ尺度(NOS)を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・43件の研究、統合失調症患者270万825例をメタ解析に含めた。
・男女ともに統合失調症患者は、対照群と比較し、すべての原因による死亡率、自殺率、自然死率が高かった。
●すべての原因による死亡率
【男性】RR:2.62、95%信頼区間(CI):2.35〜2.92
【女性】RR:2.56、95%CI:2.27〜2.87
●自殺率
【男性】RR:9.02、95%CI:5.96〜13.67
【女性】RR:12.09、95%CI:9.00〜16.25
●自然死率
【男性】RR:2.11、95%CI:1.88〜2.38
【女性】RR:2.14、95%CI:1.93〜2.38
・性別による死亡リスクに、有意な差は認められなかった。
・40歳未満の女性では、40歳以上の女性と比較し、年齢依存的に死亡リスクの増加が認められた(RR:4.23 vs.2.17)。
・神経疾患(認知症)による死亡リスクは、男性のほうが女性よりも有意に高かった(RR:5.19 vs.2.40)。
・死亡リスクの増加は、多くの場合、特定の修正可能なリスク因子との関連が認められた。
著者らは「死亡リスクの増加は、時間経過とともに改善が認められないため、修正可能なリスク因子の特定のためのさらなる研究および統合失調症の男女の身体疾患治療の改善が求められる」と結論付けている。
(鷹野 敦夫)