せん妄予防に対するラメルテオン~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2023/03/15

 

 せん妄予防に対する新たな治療オプションとして期待されているラメルテオンだが、その有効性を評価したエビデンスは、まだ限られている。台湾・長庚記念病院国際医療センターのChia-Ling Yu氏らは、アップデートメタ解析を実施し、入院患者のせん妄予防に対するラメルテオンの効果に関するこれまでのエビデンスの信頼性を調査した。その結果、ラメルテオンは、プラセボと比較し、入院患者のせん妄リスクを低減させることが最新のメタ解析で明らかとなった。Journal of Pineal Research誌オンライン版2023年2月1日号掲載の報告。

 せん妄予防に対するラメルテオンの有効性を評価したランダム化比較試験を特定するため、7つの主要な電子データベースよりシステマティックに検索した。ランダム効果モデル(frequentist-restricted maximum-likelihood)を用いて、データをプールした。50%の相対リスク低減閾値を用いて、試験逐次解析を実施した。主要アウトカムは、せん妄の発生率(オッズ比[OR]、95%信頼区間[Cl])とした。副次的アウトカムは、せん妄、すべての原因による死亡、すべての原因による治療中止までの日数とした。

 主な結果は以下のとおり。

・特定された187研究のうち、8つのプラセボ対照ランダム化比較試験(587例)をメタ解析に含めた。
・アップデートメタ解析では、ラメルテオンは、プラセボと比較し、せん妄の発生率低下と関連していることが示唆された(OR:0.50、95%信頼区間[CI]:0.29~0.86、I2=17.48%)。
・試験逐次解析では、40~60%の相対リスク低減閾値を使用した場合、ラメルテオンの有意性が認められた。
・サブグループ解析では、ラメルテオンは、プラセボと比較し、高齢者群(5研究、OR:0.28、95%CI:0.09~0.85、I2=27.93%)および複数回投与群(5研究、OR:0.34、95%CI:0.14~0.82、I2=44.24%)においてせん妄発生率低下との関連が認められたが、非高齢者群および非複数回投与群では認められなかった。
・外科患者と内科患者別の解析では、両群ともにラメルテオンによるせん妄予防の傾向が認められたが、統計学的に有意ではなかった。
・副次的アウトカムに有意な差は認められなかった。

(鷹野 敦夫)