せん妄予防に対するラメルテオン+スボレキサントの有効性~メタ解析

提供元:ケアネット

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公開日:2022/01/31

 

 せん妄は、重篤な神経性行動を有する症候群であり、長期入院や有病率、死亡率の増加と関連している。中国・南方医科大学のYu Tian氏らは、高齢入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの予防効果を明らかにするため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Psychogeriatrics誌オンライン版2021年12月8日号の報告。

 各データベース(PubMed、Cochrane Library、Web of Science、EMBASE、EBSCOhostデータベース)より、成人入院患者のせん妄に対するラメルテオンの有無にかかわらないスボレキサントの有効性を調査したすべてのランダム化比較試験(RCT)、ケースコントロール研究、コホート研究を検索し、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。主要アウトカムは、せん妄の発生率とした。

 主な結果は以下のとおり。

・本メタ解析には、RCT2件、コホート研究7件、ケースコントロール研究2件より2,594例が抽出された。
・ラメルテオンの有無にかかわらずスボレキサントでは、成人入院患者におけるせん妄発生率の低下が認められた。
 ●スボレキサント単独のオッズ比(OR):0.30(95%信頼区間[CI]:0.14~0.65、p=0.002)
 ●スボレキサント+ラメルテオンのOR:0.39(95%CI:0.23~0.65、p=0.0003)
・ベンゾジアゼピンを用いた6件の研究において、スボレキサント単独とスボレキサント+ラメルテオンを別々に評価したサブグループ解析を行うと、ベンゾジアゼピンを使用した場合には、スボレキサント+ラメルテオンでは、せん妄発生率の低下が認められたが(OR:0.53、95%CI:0.37~0.74、p=0.0002)、スボレキサント単独では有意な差が認められなかった(OR:0.40、95%CI:0.11~1.53、p=0.18)。

 著者らは「ベンゾジアゼピンが使用されている場合では、スボレキサント単独でのせん妄発生率に対する有意な効果が認められなかったが、せん妄予防に対しては、ラメルテオンの有無にかかわらずスボレキサントの有効性が支持された。本結果の解釈にあたっては、研究間の有意な異質性により制限を受けていることに注意する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)