COVID-19関連のPTSDリスク~6ヵ国の大学生を調査

提供元:ケアネット

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公開日:2021/12/30

 

 ポーランド・ワルシャワ工科大学のDominika Ochnik氏らは、欧州6ヵ国の大学生におけるCOVID-19パンデミックの第1波、第2波の影響および第2波期間中の心的外傷後ストレス障害(PTSD)リスクとその有病率との関連について調査を行った。Journal of Clinical Medicine誌2021年11月26日号の報告。

 ドイツ、ポーランド、ロシア、スロベニア、トルコ、ウクライナの大学生を対象に、横断的研究を繰り返し実施した(第1波:1,684人、第2波:1,741人)。COVID-19への曝露は、8項目(COVID-19の症状、検査、COVID-19による入院、親族の感染、親族の死亡、失業、COVID-19パンデミックによる経済状況の悪化)について測定した。COVID-19関連のPTSDリスクの評価には、PTSD評価尺度(PCL-S)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・COVID-19の症状は、ドイツを除く5ヵ国において第1波よりも第2波の方が高かった。
・COVID-19の検査は、すべての国において第1波よりも第2波の方が多く、その差はドイツが最も大きかった。
・第2波でのCOVID-19による入院は、ポーランド、トルコ、6ヵ国全体の学生において入院率が高かった。
・COVID-19の検疫を受けた学生の割合は、ポーランド、トルコ、ウクライナで高かった。
・すべての国において、第1波よりも第2波において、友人、親族のCOVID-19感染および死亡を経験していた。
・COVID-19による失業率の増加は、ウクライナのみで認められた。
・第2波期間中の経済状況は、ポーランドで悪化が認められ、ロシアでは改善が認められた。この理由として、規制の厳しさが影響していると考えらる。
・3つのカットオフ値(25、44、50)によるCOVID-19関連のPTSDリスクの有病率は、それぞれ78.20%、32.70%、23.10%であった。
・PTSDリスクの重症度が異なる場合、予測モデルに違いが認められた。
・COVID-19関連PTSDリスクと強いおよびとても強い関連が認められた因子は、女性、うつ病診断歴、友人、親族の死亡、失業、経済状況の悪化であった。
・COVID-19関連PTSDリスクと中程度の関連が認められた因子は、女性、PTSD診断歴、COVID-19症状の経験、COVID-19の検査、友人、親族の感染、経済状況の悪化であった。

(鷹野 敦夫)