統合失調症患者の早期再発に関連する要因

提供元:ケアネット

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公開日:2021/09/28

 

 統合失調症は、再発を繰り返して進行する慢性的な精神疾患である。再発リスクに影響を及ぼす可能性のある多くの因子を特定することは、再発を予防するうえで重要である。トルコ・Gulhane Training and Research HospitalのIbrahim Gundogmus氏らは、統合失調症患者の早期再発率とそれに関連する可能性のあるリスク因子を特定するため、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2021年8月19日号の報告。

 統合失調症患者308例を対象に、自然主義的観察デザインのプロスペクティブ研究を実施した。早期再発のカットオフ値は、1年と定義した。

 主な結果は以下のとおり。

・対象患者の平均年齢は37.38±12.28歳、男性の割合は66.6%(205例)であった。
・早期再発率は、38.3%であった。
・早期再発の独立したリスク因子は、以下のとおりであった。
 ●35歳未満(ハザード比[HR]:2.313、95%信頼区間[CI]:1.518~3.526、p<0.001)
 ●向精神薬の使用(HR:2.200、95%CI:1.407~3.440、p=0.001)
 ●自殺企図の既往歴(HR:1.565、95%CI:1.028~2.384、p=0.037)
 ●治療アドヒアランス不良(HR:3.102、95%CI:1.358~7.086、p=0.007)
 ●エピソード数(HR:1.088、95%CI:1.043~1.134)
 ●臨床全般印象評価尺度(CGI)の有害事象スコア(HR:1.826、95%CI:1.357~2.458、p<0.001)
・早期再発リスクの減少と関連が認められた因子は、以下のとおりであった。
●長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬の使用(HR:0.534、95%CI:0.351~0.812、p=0.003)
●非定型抗精神病薬の併用(HR:0.326、95%CI:0.131~0.807、p=0.015)

 著者らは「統合失調症の早期再発に対する変更可能な予測因子として、治療アドヒアランス不良、向精神薬の使用、LAI抗精神病薬の未使用、非定型抗精神病薬を併用しない定型抗精神病薬の使用が挙げられる」としている。

(ケアネット)