ビタミンBと認知症リスクに関する性差~日本のメモリークリニック外来患者での調査

認知症や認知機能障害は、重大な社会的および医学的な問題の1つである。ビタミンBと認知機能低下には明確な関係が認められるが、男女間の差に関しては、十分な評価が行われていない。昭和大学の三木 綾子氏らは、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。Frontiers in Aging Neuroscience誌2021年4月9日号の報告。
2016年3月~2019年3月に昭和大学病院のメモリークリニック外来を受診した188例を対象に、性別によるビタミンB1またはB12と認知症との関連を調査した。認知機能の評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)日本語版、改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)を用いた。ビタミンレベルを測定するため、血液検査を実施した。ロジスティック回帰分析を用いて、認知症のオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。ビタミンレベルに応じて3つに分類した。
主な結果は以下のとおり。
・ビタミンレベルが高い女性と比較し、ビタミンレベルが低い女性では、認知症(MMSEスコア23以下)のORの有意な増加が確認された。
【ビタミンB1】OR:3.73、95%CI:1.52~9.16
【ビタミンB12】OR:2.97、95%CI:1.22~7.28
・対照的に、男性ではビタミンレベルと認知症との有意な関連は認められなかった。
・認知症の定義に、HDS-R(スコア20以下)を用いた場合でも、同様であった。
著者らは「認知症発症を予防するうえで、女性ではビタミンB1摂取が有効である可能性が示唆された。ビタミンレベルの低下が認知障害の前後いずれで起こるのか、高ビタミンレベルを維持すれば認知機能の悪化や認知症発症を予防できるかを明らかにするためには、今後の縦断的研究が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)
関連記事

認知症と女性の生殖期間との関係
医療一般(2020/08/17)

認知症予防へのビタミンDや日光曝露、さらなる研究が求められる
医療一般(2017/02/20)

認知症まとめ【クローズアップ!精神神経 7疾患】
クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26)
[ 最新ニュース ]

患者×外科医の性別パターン、術後死亡率との関連は?/BMJ(2023/12/04)

lepodisiran、リポ蛋白(a)値を著明に低下/JAMA(2023/12/04)

毎日のコーヒーがアルツハイマー病リスクに及ぼす影響~メタ解析(2023/12/04)

喫煙はがんの抑制に関わる遺伝子の変異と関連(2023/12/04)

COVID-19後の嗅覚・味覚障害は3年で回復へ(2023/12/04)

医師が患者の減量を成功に導くためのアプローチとは?(2023/12/04)

パンデミックで急性アルコール中毒による救急搬送が有意に減少(2023/12/04)
[ あわせて読みたい ]
経営資料は秘密!? それは「身体を見ずに診察して」と同じですよ!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第22回(2021/07/26)
アクティブラーニングで英語習得!医療者限定のオンラインプログラム開講(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 膠原病(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(消化管)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 消化器(肝胆膵)(2021/07/15)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 感染症(2021/07/15)
「売れなければ閉じればいい…」、閉院にいくらかかるかご存じですか?【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第21回(2021/07/12)
「うちの診療所引き継ぐ人いない?」、うっかり漏らして大惨事!【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第20回(2021/06/28)
早めに動かないと売れ残る!「ヤバい診療所」のパターン2つ【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第19回(2021/06/14)
総合内科専門医試験オールスターレクチャー 腎臓(2021/06/10)