米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)およびこれに関連するソーシャルディスタンスやロックダウンといった制限は、実質的かつ永続的なメンタルヘルスへの影響が懸念される。アイルランド・メイノース大学のMichael Daly氏らは、米国におけるCOVID-19パンデミック前後のうつ病有病率の変化について、調査を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2020年9月15日号の報告。
米国成人を対象とした2つの代表的な調査において、うつ病を検出するために、Patient Health Questionnaire-2(PHQ-2)を用いた簡易スクリーニングを実施した。パンデミック前のうつ病レベルは、2017~18年の全国健康栄養調査(NHANES)の成人サンプル5,075例より算出した。米国の代表的なサンプルであるUnderstanding America Studyより、2020年3月(6,819例)および4月(5,428例)のうつ病レベルを評価した。
主な結果は以下のとおり。
・米国成人のうつ病有病率は、以下のとおりであった。
●2017~18年:8.7%、95%CI:7.6~9.8
●2020年3月:10.6%、95%CI:9.6~11.6
●2020年4月:14.4%、95%CI:13.1~15.7
・65歳以上および黒人を除く調査したすべてのサブグループにおいて、うつ病レベルの統計学的に有意な増加が観察された。
・若年成人(18~34歳)は、ほかの年齢層と比較し、うつ病有病率の顕著な増加が認められた。その増加率は、13.4ポイントであった。
・2007/08年~2017/18年のNHANESよりうつ病の傾向を追加分析した結果と比較し、2020年4月のうつ病有病率の大幅な増加は、典型的な変動とは異なる可能性が高いことが示唆された。
著者らは「COVID-19パンデミックによりうつ病レベルは大幅に上昇しており、とくに若年成人において、メンタルヘルスへの影響に対する脆弱性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)
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