双極性障害の薬理学的マネジメント~日本の専門医のコンセンサス

提供元:ケアネット

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公開日:2020/07/22

 

 慶應義塾大学の櫻井 準氏らは、双極I型障害および双極II型障害の精神薬理学的治療に関する日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医によるコンセンサスガイドラインを作成することを目的に本研究を行った。Bipolar Disorders誌オンライン版2020年6月17日号の報告。

 日本臨床精神神経薬理学会が認定する専門医を対象に、双極性障害治療における19の臨床状況について、9段階のリッカート尺度(同意しない「1」~同意する「9」)を用いて、治療オプションの評価を依頼した。119件の回答が得られた。治療オプションを、1次、2次、3次治療に分類した。

 主な結果は以下のとおり。

・双極I型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。
 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.0±2.2)
●うつ病エピソード(7.1±2.0)
●維持期(7.8±1.8)
・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、以下の場合に推奨された。
●躁病エピソード(7.7±1.7)
●うつ病エピソード(7.1±2.0)
●混合性の特徴を伴わない(6.9±2.2)
●維持期(6.9±2.1)
・双極II型障害の治療では、以下の第1選択として、リチウム単剤療法が推奨された。
 ●躁病エピソード(平均±標準偏差:7.3±2.2)
●うつ病エピソード(7.0±2.2)
●維持期(7.3±2.3)
・リチウムと非定型抗精神病薬の併用療法は、躁病エピソード(6.9±2.4)に推奨された。
・抗精神病薬単独療法または抗うつ薬治療は、いずれの場合においても第1選択として推奨されなかった。

 著者らは「本知見は、現在のエビデンスを反映しており、双極性障害に対するリチウム治療のエキスパートコンセンサスが得られた。また、双極性障害に対する抗精神病薬および抗うつ薬の使用では、有効性と忍容性を考慮する必要がある」としている。

(鷹野 敦夫)