アリピプラゾール長時間作用型注射剤で治療された患者の臨床経過

提供元:ケアネット

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公開日:2020/02/13

 

 抗精神病薬の長時間作用型注射剤(LAI)は、統合失調症および関連疾患患者の治療を維持し、アドヒアランスを確保するうえで、効果的な治療オプションである。アリピプラゾールLAIは、治療アドヒアランスを改善し、再発を軽減することが可能な非定型抗精神病薬である。スペイン・Health Centre Los AngelesのJuan Carlos Garcia Alvarez氏らは、6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療による、精神症状や社会機能の改善、副作用の軽減、抗精神病薬併用の減少に対する効果について、評価を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2020年1月14日号の報告。

 アリピプラゾールLAIを開始または切り替えを行った統合失調症スペクトラム障害患者53例を対象に、多施設共同プロスペクティブ研究を実施した。アリピプラゾールLAIの評価には、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、Udvalg for Kliniske Undersogelser scale for side effects、機能の全体的評価尺度(GAF)、臨床全般印象度-統合失調症(CGI-SCH)を用いた。

 主な結果は以下のとおり。

・アリピプラゾールLAI治療は、PANSSのすべてのドメインを有意に改善した(p<0.05)。
・6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療後、有害事象の重症度に有意な改善が認められた(p<0.05)。
・ベースラインから6ヵ月目までの機能評価スコアに、有意な差が認められた(p=0.0002)。
・アリピプラゾールLAI治療により、重症患者の割合が減少した(CGI-SCH)。
・6ヵ月の治療後、プロラクチン濃度は、正常化された(43.0→14.7ng/mL)。
・6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療後、精神病薬の併用は有意に減少した。

 著者らは「6ヵ月間のアリピプラゾールLAI治療は、代謝プロファイルに影響を与えることなく、臨床症状を改善し、抗精神病薬の併用も減少させた。この研究結果は、アリピプラゾールの有効性、安全性に関するこれまでのデータを裏付けている。アリピプラゾールLAIは、統合失調症スペクトラム障害患者における治療アドヒアランスの最適化に役立つ可能性がある」としている。

(鷹野 敦夫)