統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤の無作為化試験のレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2019/12/26

 

 ドイツ・シャリテ医科大学のLuisa Peters氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤抗精神病薬(LAI)について、2016年1月~2019年3月に公表されたランダム化比較試験(RCT)データのレビューを行った。Current Psychiatry Reports誌2019年11月19日号の報告。

 主な結果は以下のとおり。

・RCT 31件(1次研究:7件、事後解析:24件)、4,738例が抽出された。内訳は、プラセボ対照研究は11件(1,875例)、経口抗精神病薬(OAP)との比較試験7件(658例)、LAI同士の比較試験13件(2,205例)であった。
・LAIには、aripiprazole lauroxil nanocrystal dispersion、皮下注射可能なリスペリドン製剤、aripiprazole lauroxil、アリピプラゾール1ヵ月製剤、パリペリドン1ヵ月製剤、paliperidone 3ヵ月製剤、リスペリドンLAIが含まれていた。
・再発および入院の予防に関して、LAIは、プラセボよりも有用であり、OAPより部分的に優れていた。また、LAI間で違いは認められなかった。
・LAIは、すべての原因による中止、機能、QOL、忍容性に関して、OAPと同等であり、患者満足度およびサービスへの関与が高かった。

 著者らは「最近のメタ解析では、さまざまな結果が得られていたが、LAIよりもOAPを優先すべきとの結果には至らなかった。RCTでは、LAIは、プラセボより優れ、OAPよりも部分的に優れていた。LAIとOAPの有効性比較については、さらなる研究が求められる」としている。

(鷹野 敦夫)