フレイルな非小細胞肺がんに対する低用量エルロチニブの有効性/日本臨床腫瘍学会

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/31

 

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対しては分子標的薬がスタンダードだが、フレイル患者への実臨床での至適投与量は明らかではない。そのような中、EGFR変異陽性NSCLCのフレイル患者に対する低用量エルロチニブの効果と安全性を評価する多施設第II相TORG1425試験が行われた。第17回日本臨床腫瘍学会学術集会では、その最終結果が三井記念病院の青野ひろみ氏により発表された。

・対象:化学療法未治療のEGFR変異陽性進行NSCLCのフレイル患者
・介入:初回投与エルロチニブ50mg/日、4週後奏効率により変更(PD例は中止、SD例は100または150mg/日に増量、PR/CR例は50mg/日を継続)
・評価項目:[主要評価項目]奏効率(RR)[副次評価項目]増量後のRRおよび疾患制御率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性

フレイルの定義
・グループ1:年齢20~74歳でPS2以上、Charlson Comorbidity Index(CCI)6以上
・グループ2:年齢75~80歳でPS1以上、CCI6以上
・グループ3:年齢81歳以上でPS全グレード、CCI全グレード

 主な結果は以下のとおり。

・2015年1月~2017年4月に21施設から80例が登録され、80例すべてが効果と安全性の評価対象となった。
・患者の年齢中央値は80歳、StageIVが63.8%、フレイルグループは3が最も多く46.3%、2が35.0%、1が18.8%であった。
・初回投与(50mg/日)のRRは60.0%、増量例を含んだRRは62.5%であった。
・初回投与のDCRは90.0%、増量例を含んだDCRは86.3%であった。
・PFS中央値は9.29ヵ月、1年PFS率は35.6%であった。
・OS中央値は26.15ヵ月、1年OS率は69.5%であった。
・エルロチニブの有害事象については新たなものはみられず、治療関連死はなかった。

 青野氏は、低用量エルロチニブはフレイルのEGFR陽性NSCLCの治療選択肢になりうると結論付けた。

(ケアネット 細田 雅之)