統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2019/02/14 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。 ・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。 ・ブレクスピプラゾールはD2受容体への活性が低く、5-HT1A、5-HT2A、ノルアドレナリンα1B受容体への作用を併せ持つことで、アリピプラゾールよりも有害事象や錐体外路症状が少ないと推測される。 ・急性増悪を伴う統合失調症の成人患者に対するブレクスピプラゾール2~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、全体の症状および心理社会的機能において、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。 ・維持療法におけるブレクスピプラゾール1~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、再発までの時間を有意に遅らせ、症状および機能の安定化または継続的な改善が認められた。 ・ブレクスピプラゾールは、一般的に忍容性が高かった。有害事象プロファイルでは、賦活化および過鎮静の発現率が低く、QT間隔および代謝パラメータの変化はわずかで臨床的に有意ではなく、中程度の体重増加が認められた。 著者らは「これまでの臨床的エビデンスによると、ブレクスピプラゾールにより、統合失調症の治療選択肢がより良い方向へ広がることが示唆された」としている。 ■関連記事 日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験 日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性 急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Frampton JE. Drugs. 2019 Jan 22. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 ブレクスピプラゾールのリバウンド現象抑制作用 医療一般 日本発エビデンス(2019/09/27) 5-HT1A受容体が精神科薬物治療で注目されている 医療一般(2013/06/28) ブレクスピプラゾールvs.アリピプラゾール、日本人のうつ病に対する有効性・安全性に差は? 医療一般 日本発エビデンス(2024/03/05) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期乳がん、5年以上の内分泌療法後にAI投与5年で遠隔再発27%減/Lancet(2025/08/22) 危険な飲酒者、日本のプライマリケアにおける超短時間介入は減酒に有効?/BMJ(2025/08/22) 再発/難治性多発性骨髄腫、CAR-Tへのブリッジングとしてのトアルクエタマブの可能性/Blood(2025/08/22) 個人の性格から高血圧リスクは予測できるか/早大(2025/08/22) 日本における統合失調症患者に対する終末期ケアの実態(2025/08/22) 認知症の診断までにかかる時間は平均3.5年(2025/08/22) 肝臓がんの60%は予防可能(2025/08/22) 眼圧と呼吸機能に有意な関連、日本の大規模データが示す新知見(2025/08/22) [ あわせて読みたい ] 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11)