慢性うつ病と非慢性うつ病の差に関するシステマティックレビュー

提供元:ケアネット

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公開日:2018/11/13

 

 慢性うつ病(Chronic Depression:CD)が、非CDと対照的に、明確な特徴をどの程度有しているかはよくわかっていない。ドイツ・シャリテー大学病院のStephan Kohler氏らは、CD患者の社会人口統計学的要因、精神病理および疾患の経過に関して、非CD患者との比較を行うため、システマティックレビューを行った。Depression and Anxiety誌オンライン版2018年10月9日号の報告。

 構造化データベース検索(MEDLINE、PsycINFO、Web to Science、CENTRAL)を実施した。CD患者と非CD患者を比較したすべての研究が含まれた。DSM-IVまたはDSM-5に従い、サブグループの診断を行ったコホート研究、横断研究、観察研究を含む28件の研究が特定された。主要アウトカムは、社会人口統計学的要因、小児期虐待、疾患発症、併存疾患、抑うつ症状の重症度および経過、明確な精神病理に関するグループ間の比較とした。

 主な結果は以下のとおり。

・CD患者は、非CD患者と比較し、抑うつ症状の早期発症、精神医学的併存疾患の高率な合併、複雑な治療経過(例:高い自殺念慮率)が認められた。
・非CD患者と対照的な、CD患者の精神病理学的に明確な特徴(従順および敵対的な対人関係)がいくつか認められた。
・小児期の虐待については、一貫性が認められなかった。
・抑うつ症状の重症度および多くの社会人口学的要因に関して、差は認められなかった。

 著者らは「いくつかの矛盾はあったものの、CD患者と非CD患者の間に重要な差が認められた。しかし、より多くの治療戦略を見いだすためには、今後、非CD患者と比較したCD患者の明確な精神病理を特徴付けるための研究が必要とされる」としている。

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