治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/06/27 うつ病の治療では、しばしばその後の介入が必要となる。抗うつ薬治療により寛解が得られない患者は、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)といわれる。どのような患者がTRDを発症するか予測することは、医療従事者がより効果的な治療を決定するうえで重要である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、医療保険データベースを用いて、実臨床におけるTRDの予測因子の特定を試みた。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月22日号の報告。 本レトロスペクティブコホート研究は、躁病、認知症、精神病の診断のない新たにうつ病と診断された成人患者を対象に、米国医療保険データベースを用いて実施した。抗うつ薬投与日をインデックス日とした。アウトカムはTRDとし、その定義は、インデック日から1年以内に3種類以上の抗うつ薬治療または抗うつ薬治療後の抗精神病薬治療を行った場合とした。予測因子は、年齢、性別、医学的症状、医薬品、インデック日から1年前の対処とした。 主な結果は以下のとおり。 ・対象患者23万801例のうち、1年以内にTRDが認められた患者の割合は10.4%であった。 ・ベースライン時のTRD患者は非TRD患者より若い傾向にあり、18~19歳の割合は10.87% vs.7.64%であった(リスク比=1.42、95%CI:1.37~1.48)。 ・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に不安障害を有する可能性がより高かった(リスク比:1.38、95%CI:1.35~1.41)。 ・疲労感が、最も高いリスク比を示した(リスク比:3.68、95%CI:3.18~4.25)。 ・TRD患者は、非TRD患者よりもベースライン時に物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛がより頻繁に認められた。 著者らは「新規にうつ病と診断され治療を受けた患者の10%において、1年以内にTRDが認められた。TRD患者は、非TRD患者よりも若く、疲労感、物質使用障害、精神医学的状態、不眠症、疼痛をより頻繁に有していた」としている。 ■関連記事 リアルワールドデータにおける治療抵抗性うつ病 SSRI治療抵抗性うつ病、治療前に識別可能か:大分大 SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較 治療抵抗性うつ病は本当に治療抵抗性なのかを検証 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Cepeda MS, et al. Depress Anxiety. 2018 May 22. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 中高年の慢性不眠症、太極拳は有効か/BMJ(2025/12/23) SGLT2阻害薬の投与により自己免疫性リウマチ性疾患の発症が抑制される?(解説:住谷哲氏)(2025/12/23) 日本人統合失調症患者における抗精神病薬の治療パターンと機能アウトカムとの関係(2025/12/23) ER+/HER2-進行乳がんへのimlunestrant、OS中間解析時点の最新データ(EMBER-3)/SABCS2025(2025/12/23) IgA腎症は0.5~1.0g/日の低レベル蛋白尿でも腎予後不良~メタ解析/慈恵医大(2025/12/23) 「まずは金属除去」ではない? 金属アレルギー診療と管理の手引きを公開/日本アレルギー学会(2025/12/23) 猛暑は高齢糖尿病患者にとって致命的となり得る(2025/12/23) 米国でアルファガル症候群による初の死亡例を確認(2025/12/23) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)