PM2.5が高いと高濃度乳房になりやすい?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/08/23

 

 マンモグラフィ乳腺密度は乳がんの強力な危険因子であるが、都市部と農村部の乳腺密度の違いにおける環境の影響についてはほとんどわかっていない。米国・フロリダ大学のLusine Yaghjyan氏らが集団ベースの大規模レジストリで調査したところ、きわめて高濃度乳房の女性は脂肪性乳房の女性に比べてPM2.5の曝露が多く、オゾンの曝露は少なかった。本研究から、PM2.5やオゾンへの曝露の違いでマンモグラフィ乳腺密度の地域差を部分的に説明できることが示唆された。Breast cancer research誌2017年4月6日号に掲載。

 本研究の参加者は、Breast Cancer Surveillance Consortium(2001~09)においてイメージング施設でマンモグラフィ検診を受けた女性で、インデックスマンモグラムの前に自宅のzipコードがわかった40歳以上の女性27万9,967人。乳腺密度は、American College of RadiologyのBreast Imaging-Reporting and Data System(BI-RADS)の4カテゴリーによる乳腺密度分類を用いて評価した。米国環境保護庁の階層ベイズモデル(HBM)から米国の各グリッドのPM2.5およびオゾンの推定値(2001~08年)を入手した。大多数の女性(94%)で、マンモグラフィ検診日の前年の推定値が入手可能であった。

 主な結果は以下のとおり。

・きわめて高濃度乳房の女性は脂肪性乳房の女性に比べ、PM2.5(平均値)の曝露が多くオゾンは少なかった(それぞれ、8.97 vs.8.66μg/m3、33.70 vs.35.82ppb)。

・回帰分析より、不均一高濃度乳房の女性は乳腺散在乳房の女性に比べ、PM 2.5への曝露が多い傾向がみられた(第1四分位に対する第4四分位のオッズ比[OR]:1.19、95%信頼区間[CI]:1.16~1.23)。

・きわめて高濃度乳房の女性は乳腺散在乳房の女性に比べて、オゾンへの曝露が少ない傾向がみられた(第1四分位に対する第4四分位のOR:0.80、95%CI:0.73~0.87)。

(ケアネット 金沢 浩子)