うつ病とビタミンDとの関連、どこまで研究は進んでいるのか

ビタミンDの欠乏や不足がうつ病と関連しているのか、また、ビタミンD補充がうつ病の有効な治療法であるのかを、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のGordon B Parker氏らが検討を行った。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年10月11日号の報告。
うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割
3つの検索エンジンとオンラインデータベース(PubMed、Google Scholar、コクランデータベース)を用いて、近年出版された経験的研究を抽出した。検索キーワードは、ビタミンD、うつ病、治療とし、ビタミンD欠乏/不足とうつ病との関連、うつ病治療薬としてビタミンDサプリメントやビタミンDを使用した文献を選択した。本レビューは、以前の研究も考慮したものの、2011年以降の最近の研究に比重を置いた。主な結果は以下のとおり。
・経験的研究では、ビタミンD欠乏とうつ病の関連、ビタミンD不足のうつ病患者に対するビタミンDサプリメントやビタミンD増強に関するエビデンスが増加していた。
・多くの研究に関連する方法論的限界が述べられていた。
・研究は、英語論文に限られており、出版バイアスは、肯定的な所見を持つ研究が多い可能性がある。
・うつ病の病因と管理におけるビタミンDの役割を明らかにし、現在示唆されている関連が臨床的に適合されるのかを証明するために、横断的デザインを超え、無作為化された縦断研究を実施する必要がある。
(鷹野 敦夫)
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