統合失調症や双極性障害、ビタミンD欠乏の有病率は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/10/31

 

 いくつかの研究において、ビタミンD低レベルと統合失調症との関連が示唆されている。現時点で、双極性障害患者におけるビタミンD欠乏症の有病率に関する研究のみが存在する。オランダ・Mental Health Care Organisation Noord-Holland-NoordのRemco Boerman氏らは、ビタミンD欠乏症は、統合失調症や統合失調感情障害患者より、双極性障害患者で一般的であるとの仮説と一般オランダ人よりも、統合失調症、統合失調感情障害、双極性障害患者で一般的であるとの仮説について検証を行った。なお、これまでの研究では入院患者を対象としていたが、本研究では唯一、外来患者を含み検討を行った。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2016年9月21日号の報告。

 双極性障害センターおよび3つのフレキシブル包括型地域生活支援チームのすべての外来患者に対し、本横断的研究への参加を依頼した。

 主な結果は以下のとおり。

・双極性障害患者118例、統合失調症または統合失調感情障害患者202例が研究に参加した。
・ビタミンD濃度は、30.3%の患者で欠乏していた(95%CI:25.5~35.6)。
・精神疾患の種類は、ビタミンD欠乏症の予測因子ではなかった。
・試験集団とオランダ白人集団の欠乏リスクの絶対差は23.8%であった(95%CI:18.3~29.3%)。
・精神疾患外来患者のビタミンD欠乏症は、一般集団と比較し4.7倍多かった。

 結果を踏まえ、著者らは「双極性障害、統合失調症、統合失調感情障害患者では、ビタミンDレベルが低い危険性が高く、骨、筋力の健康維持や骨粗しょう症予防の観点から、年1回の定期的測定が重要である」としている。

関連医療ニュース
抗精神病薬服用が骨密度低下を引き起こすのか:千葉大学
統合失調症発症にビタミンDがどう関与しているのか
治療抵抗性統合失調症、ビタミンDとの関連を検証

(鷹野 敦夫)