うつ病患者にみられる認知機能の変化は

うつ病の青年には、実行機能、注意、記憶の欠損が見られる。神経認知機能の変化は寛解期ではなく急性期に見られるものもあるという事実にもかかわらず、縦断的研究も不足している。米国・ニューヨーク市立大学クイーンズ校のAl Amira Safa Shehab氏らは、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)による急性期治療中のうつ病青年の神経認知機能の変化を調査した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年3月14日号の報告。
うつ病青年を治療する際に認知症状についてもチェックする必要
うつ病青年24人と健康対照者24人を対象に、ベースライン時および6、12週にケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)のサブテストおよび臨床スケールを評価した。うつ病青年には、ベースライン評価後、fluoxetineを投与した。うつ病青年の神経認知機能の変化を調査した主な結果は以下のとおり。
・うつ病青年では、抑うつ症状の著しい改善にもかかわらず、健康対照者と比較して、視覚的記憶の継続的な欠損が認められた(p=0.001)。
・持続的な注意および抑制の課題は、健康対照者では12週までより良い状態であったが、うつ病青年では持続的注意欠損が残存していた。
・実行機能(計画)課題は、健康対照者では課題を学習し、12週にわたり改善したにもかかわらず、うつ病青年のパフォーマンスでは有意な変化がみられなかった(p=0.04)。
結果を踏まえ、著者らは「うつ病青年を治療する際に、臨床医は気分症状の改善後にみられる認知症状についてもチェックする必要がある」としている。
(鷹野 敦夫)
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