うつ病患者の予後に影響する生活習慣病

肥満、メタボリックシンドローム(Mets)、地中海式ダイエットの低い順守率は、うつ病患者で頻繁にみられ、それぞれが予後と関連している。うつ病のアウトカムに対する、これらの要因の6、12ヵ月の予測力を分析するため、スペイン・バレアレス大学のRachel H B Mitchell氏らは、検討を行った。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年1月19日号の報告。
273例のうつ病患者から、うつ症状評価のためにベックうつ病評価尺度と14項目の地中海式ダイエット順守スコアを収集した。Metsは、国際糖尿病連合(IDF)の基準に従って診断した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時の地中海式ダイエット順守は、抑うつ症状と逆相関していた(p=0.007)。
・うつ病への反応は、正常体重の患者(p=0.006)、非Mets患者(p=0.013)で高かったが、地中海式ダイエットの順守率との関連は認められなかった(p=0.625)。
・Metsである肥満患者は、Metsでない肥満患者よりもうつ症状の改善傾向が低かった。
・肥満やMets(ベースライン時における地中海式ダイエットの低い順守率を除く)は、12ヵ月時点でのうつ病の不良転帰を予測した。
結果を踏まえ、著者らは「肥満や食事よりむしろMetsが、うつ病の予後に対し負の影響を与える重要な要因であることが、本研究で示唆された。このことから、臨床医は、肥満うつ病患者(とくに治療成果が十分でない場合)におけるMets診断と治療について認識しておく必要がある」とまとめている。
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