アルツハイマー型認知症のアジテーションは、患者、介護者、家族、医療制度に大きな影響を及ぼす。アジテーション治療に関する新たなエビデンスが明らかになるにつれて、多専門分野の専門家によるラウンドテーブルが開催され、発表された文献(2024年10月1日現在のPubMed検索結果)をレビューし、米国のプライマリケア提供者のためのコンセンサス推奨事項が作成された。米国・セントルイス大学のGeorge T. Grossberg氏らは、プライマリケア提供者向けのアルツハイマー型認知症のアジテーションの診断とマネジメントに関するエビデンスに基づく臨床実践のコンセンサス推奨事項を報告した。Postgraduate Medicine誌オンライン版2025年6月17日号の報告。
本稿では、ラウンドテーブルで得られた主要な推奨事項を要約した。具体的には、鑑別診断、現在の臨床実践、非薬理学的介入、薬理学的介入、居住型介護施設/在宅介護環境および介護者に対する治療とコミュニケーションの考慮事項を含めた。
主な結果は以下のとおり。
・アジテーションのタイムリーな検出、正確な診断、適切なマネジメントと予防には、医療提供者、患者、介護者/家族の間での積極的なコミュニケーションが不可欠である。
・治療のベースは常に、患者の性格、興味、機能レベルに基づいた個別の心理教育および非薬理学的介入から、スタートしている。
・薬理学的介入が強く推奨されるケースは以下のとおりである。
●アジテーションに伴う行動が非常に激しく、不安を呈し、混乱を招く場合
●重大な安全性上の懸念が他の方法で対処できない場合
●医療提供者が好ましい個々のリスクベネフィットプロファイルを有する薬理学的介入によりアジテーションを十分にマネジメントまたは軽減できると確信した場合
・アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションの治療薬として質の高い臨床試験で複数の薬剤が研究されているものの、米国食品医薬品局(FDA)が承認した薬剤はブレクスピプラゾールのみであり、必要に応じて使用することが推奨される。
・治療を最適化し、潜在的な副作用をモニタリングし、最小限に抑制するためにも、介入の継続的な評価が必要である。
・患者ケアチームの重要な一員である介護者/家族との強力なパートナーシップを含む、患者中心のアプローチが推奨される。
著者らは「アルツハイマー型認知症に伴うアジテーションをタイムリーに検出し、正確な診断を行い、適切な治療に繋げることが非常に重要である。これらの推奨事項に従うことで、ほとんどの患者および介護者のアウトカムが改善される可能性がある」とまとめている。
(鷹野 敦夫)