ADHD発症にトリプトファンが関連か

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 ノルウェー・ベルゲン大学のTore Ivar Malmei Aarsland氏らは、成人の注意欠如・多動症(ADHD)とトリプトファンおよびその代謝物の血清中濃度との関連を検討した。その結果、トリプトファン、キヌレン酸、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸などの血清中濃度低値、およびコチニンの血清中濃度高値がADHDと有意に関連していたことを報告した。必須アミノ酸のトリプトファンは、主にキヌレニン経路によって異化される。一方で、慢性炎症状態およびうつ病や統合失調症などいくつかの神経精神障害において、循環血中キヌレニン濃度に変化が認められるとの報告があり、また候補遺伝子研究により、キヌレニン異化に関連する遺伝子とADHDとの関連が示唆されていた。さらに、ADHD患者はうつ病や不安をしばしば併存していることが報告されており、研究グループは、ノルウェーの成人ADHD患者および成人対照における血清キヌレニン濃度を検討した。Behavioral and Brain Functions誌2015年11月号の掲載報告。

 成人ADHD患者133例と成人対照131例(18~40歳)において、トリプトファンおよび7種類のトリプトファン代謝物であるキヌレニン、キヌレン酸、アントラニル酸、3-ヒドロキシキヌレニン、キサンツレン酸、3-ヒドロキシアントラニル酸、キノリン酸の血清中濃度を比較した。リボフラビン(ビタミンB2)、総ビタミンB6およびニコチン代謝物コチニンについても測定した。質量分析法により血清サンプルを分析。患者および対照は、併存疾患と過去(幼少期)および現在のADHD症状について、Wender Utah Rating Scale(WURS)およびAdult ADHD Self-report Scale(ASRS)を用いて報告した。各代謝物の血清濃度別に、ADHD診断に対するオッズ比をロジスティック回帰により算出。さらに、スピアマン相関分析を用いて、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度とADHD症状スコアとの関連を検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・トリプトファン(オッズ比:0.61、95%信頼区間:0.45~0.83)、キヌレン酸(0.73、0.53~0.99)、キサンツレン酸(0.65、0.48~0.89)、3-ヒドロキシアントラニル酸(0.63、0.46~0.85)の血清中低濃度、およびコチニン(7.17、4.37~12.58)の血清中高濃度は、いずれもADHDと有意に関連していた。
・トリプトファン濃度で補正後、3-ヒドロキシアントラニル酸とコチニンのみ有意な関連がみられた。
・喫煙と年齢で補正すると、トリプトファンおよびキヌレニンの低濃度は、総ASRSスコア高値および総WURSスコア高値と関連していた。
・以上より、成人ADHD患者と成人対照とでは、トリプトファンおよびキヌレニンの血清中濃度に違いがある可能性が示唆された。
・本知見においてADHDにおける慢性免疫活性は示されていないが、ADHDの発症機序および血清中濃度の相違による臨床的意義について、さらに探索を進めるべきと思われた。

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