抗うつ薬の副作用発現を予測するために 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/03 抗うつ薬の代謝において、シトクロムP450酵素は重要な役割を担っている。これら酵素の高度に多様な性質は、抗うつ薬の代謝率の変動と関連しており、P450の遺伝子型判定を利用した推奨治療の決定につながる可能性がある。しかし、P450遺伝子の違いが治療効果に影響を及ぼすかどうかは明らかになっていない。英国のキングス・カレッジ・ロンドンのKaren Hodgson氏らは、P450遺伝子型および抗うつ薬の血清濃度と副作用との関連を検討した。Psychopharmacology誌オンライン版2015年3月12日号の報告。 本研究では、P450遺伝子型と抗うつ薬の血清濃度、副作用との関連および投与中止との関連を調査した。ゲノムワイド遺伝薬理学研究のうつ病プロジェクト(GENDEP)のデータを用い抽出した、エスシタロプラムまたはノルトリプチリンで治療されたうつ病患者868例を対象とした遺伝薬理学的研究。対象患者は、CYP2C19とCYP2D6の遺伝子型を特定し、抗うつ薬と1次代謝物の血清濃度を治療8週間後に測定した。副作用は毎週評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・P450遺伝子型は、すべての副作用発現(ノルトリプチリン:251例、p=0.5638、β=-0.133、SE=0.229;エスシタロプラム:340例、p=0.9627、β=-0.004、SE=0.085)、投与中止(ノルトリプチリン:284例、HR 1.300、p=0.174;エスシタロプラム:376例、HR 0.870、p=0.118)、特定の副作用のいずれも予測しなかった。 ・抗うつ薬の血清濃度は、少数の特定の副作用(口内乾燥、めまい、下痢)とのみ関連していた。 ・本試験では、臨床的判断により抗うつ薬の投与量を決定していたため、P450遺伝子型によって抗うつ薬の副作用発現を説明することはできなかった。 関連医療ニュース うつ病急性期治療、どの抗うつ薬でも差はない 各種抗うつ薬の長期効果に違いはあるか 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮 (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Hodgson K, et al. Psychopharmacology (Berl). 2015 Mar 12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 CYP2D6阻害SSRI、タモキシフェンの有効性を低下せず/BMJ ジャーナル四天王(2016/10/14) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] PIK3CA変異の内分泌療法抵抗性HR+/HER2-乳がん、inavolisib追加でPFS・OS改善(INAVO120)/NEJM(2025/06/11) 高リスク頭頸部がん、CRT+ニボルマブの術後補助療法が20年振りの新たな標準治療に(NIVOPOSTOP)/ASCO2025(2025/06/11) HRR関連遺伝子に病的バリアントを有するmCSPCへのニラパリブ+AAP、rPFS改善(AMPLITUDE)/ASCO2025(2025/06/11) COPD初の生物学的製剤デュピルマブへの期待/サノフィ(2025/06/11) うつ病合併片頭痛に対するフレマネズマブの有効性〜UNITE試験(2025/06/11) HER2+乳がん術前療法、THP vs.TCHP(neoCARHP)/ASCO2025(2025/06/11) 眠気の正体とは?昼間の眠気は異常?/日本抗加齢医学会(2025/06/11) スポーツを現地観戦する高齢者は幸福感が高い/千葉大(2025/06/11) [ あわせて読みたい ] ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)